大阪市への家庭ごみ20%減量提案シンポジウム報告

 

1月29日に開催されたシンポは盛況のうちに終わり、提案書を平松市長に面談して直接手渡すことができました。

 

1.「ごみ問題、行政だけに任しといたらあかん! うちらもできることやらな」と、大阪のごみ問題や環境問題に関わるNPO・市民が一堂に集まって、4回にわたるワークショップを重ね、その成果を提案にまとめました。

 

政令指定都市の中でいちばんごみ排出量が多い大阪市。この状況を何とか変えたいと考えたNPOや市民が集まり、2008年5月に「大阪市のごみ減量を考える連続ワークショップ実行委員会」<注2>を結成しました。そして、独立行政法人環境再生保全機構の地球環境基金による助成を受け、同年7月から10月まで連続ワークショップを開催。大阪市環境局からも毎回出席いただいて現状や課題を知るとともに、ごみ非常事態宣言後30%のごみ減量を達成した名古屋市、ごみ有料化により20%のごみ減量を達成した箕面市などをゲストに迎えてその取り組みを学びました。その成果を踏まえて、参加者全員の意見・提案を集約したのが、「大阪市への家庭ごみ20%減量提案書」です。

2.私たちは、平松市長の「森之宮工場建替計画凍結宣言」を全面的に支持します!

 

 私たちが第1回のワークショップを開催した直後、平松市長は森之宮工場の建替計画をいったん凍結することを宣言され、ごみ減量に向けた施策のあり方を考えようと「大阪市廃棄物減量等推進審議会」に緊急諮問されました。

 私たちはこの英断を全面的に支持します。市長の凍結宣言に勇気づけられて、ワークショップの議論も大いに盛り上がり、大阪市環境局からも毎回出席いただいて協働に向けた基盤をつくることができました。そして、私たちは市長の英断を活かすため、大阪市のごみ減量にとって最大のポイントとなる紙ごみのリサイクルシステムを、「民の力」で担っていこうと決断しました。

 森之宮工場の処理能力は年間21万トンと言われています。一方、家庭系と事業系を合わせた年間ごみ排出量約151万7000トンのうち、資源化できる紙類で燃やされているものが約25万トンあると考えられます<注3>。つまり、現在燃やされている新聞・チラシ・雑誌・段ボール類・紙パック類をリサイクルに回せば、それだけで森之宮工場分の施設が1つ要らなくなるのです。これによる財政削減効果は数十億円に上ると考えられ、削減分の予算を福祉・教育・環境保全などに回すことができれば、大阪市民にとってこれほどうれしいことはありません。

<注3>2008年7月8日に開催された「第3回大阪市ごみ焼却場整備・配置計画検討委員会」の会議資料によると、2006年度実績をもとに試算した家庭系ごみの中の資源化可能な紙類は10.1万トン。事業系では14.5万トン(大規模建築物1.4万トン、それ以外13.1万トン)。合わせて24.6万トン。

 

3.当面の課題を「家庭系の普通ごみ20%削減」に絞り、2007年度の49万4000トンを2011年度までに10万トン減らすことを目標に掲げました。

 

大阪市のごみの特徴は事業系ごみが6割を占めていることであり、事業系ごみ対策が最大の課題であることは間違いありません。ただ、私たちはとりあえず自分たちでできることから始めようと考えており、まず家庭系ごみの減量に取り組むこととしました。

 

4.提案書は、「市民がやるべきこと」「市民と行政の協働でやるべきこと」「行政がやるべきこと」という3つの視点からさまざまな提案を列挙しています。そのうち、「行政がやるべきこと」として第1に掲げているのが、平松市長による「紙ごみ燃やさない宣言」です。

平松市長による「紙ごみ燃やさない宣言」

名古屋市は「ごみ非常事態宣言」、横浜市は「横浜G30行動宣言」を市長が出したことで、市民のごみ問題に対する関心が急速に高まり、官民が一体となってごみ減量に取り組もうという意識が醸成されました。大阪市も、平松市長自らが市民に対して宣言を行うことが、「環境先進都市・大阪」への確かな第一歩となります。

 

5.また、協働で進めるべき事業のうち、次の3つを重点事業として掲げています。

重点事業@ 古紙リサイクルモデル事業

 ごみ減量の対策として、最もわかりやすく、最も取り組みやすく、最も効果の大きいのが紙ごみのリサイクルです。私たちは、まずこの取り組みについて、モデル地区を24区の中から1区選び、行政との協働事業を進めていきたいと考えています。

重点事業A 市民と行政の協働の場づくり

 ごみ問題ほど、市民・事業者・行政の協働が求められる分野はありません。私たちは今年度のワークショップを通じて、その足がかりをつくることができました。これを活かして具体的な実践活動へ結び付けていくことが大切で、そのためには市民・事業者・行政が自由な立場で意見交換・情報交換できる場を定期的に設けることが不可欠です。

重点事業B ごみゼロリーダーの活性化

2003年度に創設され、約4000名が委嘱されているごみゼロリーダー(大阪市廃棄物減量等推進員)。しかし、この制度がうまく機能しているとは言えないのが現状です。市民と行政をつなぐ役割として欠かせないごみゼロリーダーの活性化に向けて、やはり協働事業として研修などに取り組みます。

これらの提案の具体化に向けて、ぜひ市長がリーダーシップを発揮していただくことを願っています。