「大阪市のごみ減量を考える連続ワークショップ」大成果!

 

 昨年7月から始まった表題の連続ワークショップに最初からずっと参加してくれた大阪市環境局が、最後に大阪市主催、ワークショップ実行委員会協賛で、3月1日に市民対象の「大阪市のごみ減量を考えるシンポジウム」を開いてくれました!。コーディネーターを引き受けてくれた高月先生は、“大阪市で始めて!”と高く評価していました。私は、この連続ワークショップ開催の経過と結果について報告するパネラーに選ばれました。大阪市に長い間“楯突く”平川さんを支援してきたので、公式にパネラーとして選ばれる状況が到来するとは夢にも思いませんでしたが、“きついことを言ってくれる人ほどありがたい”とホンネで思ってくれる担当者だったからです。

 彼がそのように評価してくれたのは、前号でも紹介しましたが、集まった市民団体が「ごみ問題、行政だけに任しといたらあかん!うちらでもできることやらな」という思いで取り組み、大阪市の紙ごみをほんとうに減らすため、市民でできることを具体的に提案したからだと思います。

 

 当日の講演者やパネラーを紹介しながら、印象深かった発言などをお伝えします。

(1)基調講演の槙村久子京都女子大教授

 彼女は、大阪市民が環境問題全般に取り組む際の支援をしている方なので、ごみ減量・リサイクルのために家庭で何かできるのかを中心に語ってくれました。このテーマで語ると、来場者は“どこかで聞いた話”と受け取られがちなので、それらの総論から自分が印象深かった事柄や発言をできるだけ多く紹介されていました。そのなかで、連続ワークショップのまとめを引用してくれたので、大変うれしく思いました。これは集めて使うリサイクル協会の北井さんが作られた“銘報告書”にある以下の表現です。

◎私たちが暮らしに必要だと判断して買っているものの

 @絶対量が増えている。

 Aほんとうはもともと不要なものが増えている。

 B買ってすぐの時点で不要になるものが増えている。

 C使用期間が短くなっている。

◎従って、ごみの減量の提案とは“私たちの暮らしを見直す”提案に他なりません。

 

(2)パネラーの花田真理子大阪産業大学教授

 彼女も、大阪市の外郭団体大阪市環境事業協会の環境特使をされている方で、現場で実践されておられるので、一般市民に行動を呼びかけるには、オトクになり、楽しく、美しくできるメニューを提供する必要があるが、今回の連続ワークショップの提案はそうなっていると評価してくれました。

 彼女は経済学と経営学と行動科学を専攻し、前者からは、社会全体を動かすのはお金の流れだから、これがどのような理論に支えられて動いているのかを学び、後者からは、市民活動や経済活動をするのは生身の人間だから、その現実の人がどういう動機でどう活動するのかを学んでいると言っていました。

 私は、専攻を限定しなくなっていますが、ごみ問題を始めとするあらゆる社会問題をこれまでの学者のように評論するだけでなく、自分も社会の一員として参加して、現場で実践する必要があるが、その際必要になる学問は花田さんの言われる2つの切り口からの学問と思っていましたので非常にうれしいでした。

 

(3)パネラーの吉村八重子大阪市地域女性団体協議会会長

 これまでお会いしてきた大阪市の消費者団体の女性でなく、婦人会活動をされてきた80近い“口から先に生まれた”元気な女性でした。大阪市の担当者が、来場者確保のため市内の諸団体に声をかけたところ、最も積極的に応じてくれたのがこの方だったので、会場もクレオ大阪中央という旧婦人会館にしたとのことです。

 ごみ問題を始め、教育問題、福祉問題等々は、詰まるところ、地域に根を張った住民が解決に役立つ考えとスキルを持たないと解決の方向が見えないと思っていたので、大阪市浪速区の戦災を逃れ古き良き大阪で活動されてきた吉村さんに出会い、ほんとうによかったです。

 大阪市は国が求めているごみ減量推進委員を約4000名に委嘱していますが、多くは男性の自治会長が兼務になるなど、地域で活動している女性達があまり選ばれていません。そのため、他市と同じく実践的な活動ができず、開店休業状態になっています。彼女の地区でも、そうなっていますが、ごみ問題はかなり解決している地区です。彼女が“男の立て方”をよく知り、実務をこなすが、“手柄”は彼らに与える高度なスキルを持っているからだと言うことがよくわかりました。

 冒頭で、「私はごみ問題の素人だけれど、してきたことは玄人”と口だけの学者ではダメよと軽く批判し、分別収集などでルールをきちんと守らない人には“ごめんな”と言ってくれるまで待つことが大切!と強調されました。

 ベッドタウンになってしまい、終の棲家にできるだけの絆が生まれがたい地域に住んでいる私たちには気づけないし、気づいてもできがたいことを、肩肘張らず実践している吉村さんこそ“大阪のおばあちゃん!”、彼女を頼りにすると、紙ごみは20パーセント減らせそう、と思えるようになりました。  

 

(4)パネラーの藤田正憲大阪市廃棄物等減量審議会会長

 高月さんが後任として推薦された方で、ハード重視でなく、市民活動などのソフト路線を大切にされている方で、大阪市のごみ減量作戦もそれを基本に進めていると紹介されました。

 

(5)パネラーの高木亨大阪市環境局企画部長

 今回のシンポを代表して、大阪市もホンキでもの言う市民と協働してごみ問題に取り組むつもりであることを強調しました。私たちは重点事業の一つとして「市民と行政の協働の場づくり」を提案しているので、これを受けて「ごみゼロリーダーの活性化」事業と「古紙リサイクルモデル事業」に挑戦してくれそうです。                                                       (森住 明弘記)