豊中市の廃棄物処理契約の諸問題

 前号で市議の神原さんがお知らせしたように豊中市の廃棄物処理を巡る各種契約には色々問題がありそうなので、当会も本格的に調べることにしたいと思います。今回は、とりあえずどのような問題があるのかを報告します。

 

(1)豊中市の家庭系可燃ごみ収集委託契約問題

豊中市は家庭系可燃ごみを直営で収集していたが、平成16年から委託業者に市内の一部地区を契約期間5年で任せることになった。平成16年から平成19年までは市内に営業所、駐車場があること等の条件をつけて市内の業者を優先していたが、平成20年に委託収集地域を広げたのに伴い、市内業者優先策を変更した。それに伴い市外の業者も応札できるようにしたところ、一部地域の可燃ごみ収集を尼崎市のある業者がかなり低い金額で落札した。これは豊中市が最低入札価格を設けていないことが要因と考えられる。

 この委託契約は、応札業者が募集地区の全戸数から出るごみの収集費を収集戸数一戸あたりのコスト例えば700円/戸などと試算した額を入札することにより行われるが、人件費、物件費は当然必要となるから、労働者等にしわ寄せがいかないように、また零細業者が過酷な条件に甘んじることを回避するように、最低価格を行政が設定すべき案件である。よって、当会としては、市町村の契約実態を調べ、最低価格を設けているか否か、コストをどのような考えで試算しているのか等を調べてみたいと思っているので、読者は参考意見を是非知らせて欲しい。

 豊中市の契約の第二の問題は、市外業者との契約の問題である。一般廃棄物の収集の委託契約は問題である随意契約で行われている事例が多いので、ここに競争性を入れることはよいことであるが、単に安ければよいという姿勢では上述したと同じような深刻な問題が派生する。よって、当会としては、適正な契約のあり方を、大阪府内の自治体の実態調査等を通して具体化し、提案したいと思う。以前報告した堺市の事例では、委託基準を整理し、市内業者を優先する契約と、市外業者にも機会を与える契約をある程度区別するようになっていたが、こうした事例も参考にしていきたい。

 第三の問題は、資格問題で、落札した尼崎市の業者は、社会問題を起こしていることが新聞報道されたり、川西市の市民の裁判でも違法受注をしていることが明らかになった業者である。豊中市も入札参加資格を設けているにもかかわらず、それに抵触する恐れのある業者が受注している。この点に関して疑問が残るので豊中市に質す必要がある。

 

(2)資源ごみの選別に関する委託契約問題

 豊中市の資源になる廃棄物の収集、処理システムは以下のようにかなり複雑になってい

る。

@紙類(新聞/雑誌・段ボールなど)と布類、ガラスビンは「再生資源」として収集さ

れ、豊中市と伊丹市で構成するクリーンランドの敷地内で、豊中市と随意契約を結ん

だ再生資源業者が選別をしている。

A空き缶は、「不燃ごみ」としてプラスチックなどと一緒に収集され、クリーンランドで直営で機械選別されている。

Bペットボトルは、市内のスーパーや公共施設などの拠点に置かれた回収箱に入れられ、障害者団体やシルバー人材センターが回収したものをクリーンランドの施設で委託業者が選別・梱包している。

 これら3システムのうち、@の「再生資源」がクリーンランドでなく、豊中市が管轄し

ていて随意契約で、長い間同一業者が担っているところが解決を迫られる問題である。

 

(3)事業系一廃の許可業者と市の契約問題

 豊中市には事業系一廃の許可業者が9社ある。これら業者と豊中市の本庁舎、保育所、小学校、人権センターなどの市の施設から排出される資源ごみの回収委託は2年ごとに、事業担当部局別に契約されている。この問題点は以下の2点である。

 一つは、同一建物内に入っている部局であっても、部局別に入札するため取扱うロットが小さくなり、受取る受託料も安くなりがちとなる問題である。一括して契約できないのか調べる必要がある。 

二つには、許可業者による競争入札になっているが、同一業者が同一施設若しくは同一部局と長い年月契約してしまう問題である。これと類似の問題に、市内に進出してくる大型事業所と契約する許可業者が固定され一部の業者に集中する問題があり、どちらも行政の問題というより許可業者間の問題のようであり、当会のようなNPO団体が関わりがたい問題である。しかし、公正な競争がされるべきであるから、公正取引委員会が、「不公正な競争」と認定して排除勧告を出すという状況をつくる試みをして、豊中市に善処を求めたいと思う。

(記 森住 明弘)