その他プラの半分が産廃として焼却されている!

 

 箕面市では、平成17年度からモデル地区で「その他プラスチック容器包装」の分別収集をはじめ、今年度に5430世帯へと拡大しました。

 箕面市の資源循環モニターの中村さんがこの行方を追ったところ、「異物」を除かれた「分別基準適合物」は、「エコパレット滋賀」が1トンあたり104864円で落札し、製品化(フォークリフトの台座に)していることがわかりました。

 しかし、製品化されたのは約半分の53%で、残りの47%は産廃業者に引渡されていたのです。スーパーなどの袋にまとめて入れられたものや、パレット化に不適切な発泡スチロールなどが産廃にされているのです。

 

10%以下は国が決めたのではない!

 トレイなどの発泡スチロールはリサイクルできるし、箕面市では「異物」を10%以下の6.5%にしているから、全量は無理でも9割程度はリサイクルできるはずであるのに、半分も産廃になっているのに疑問を持った中村さんは、なぜこんなことになっているのかを調べることにしました。

 箕面市が除去している「異物」は、プラスチック以外の紙類などと、ペットボトルやおもちゃ・洗面器などプラスチックであっても容リ法の「その他プラ」に該当しないもので、「その他プラ」の一つのトレイは「異物」ではないので当然除去しません。

 

 これらを10%以下にすると分別基準適合物になるのですが、私はこの基準は国が決めたものと思いこんでいました。ところが、中村さんが調べて見ると、この基準は、(財)日本容器包装リサイクル協会が決めていたのです。

 この団体は、容リ法対象品目を使用したスーパー等の事業者が設立した財団法人で、事業者から集めたお金を管理し、リサイクル事業者に支払う仕事をしています。この協会作成のホームページ資料『市町村からの引き取り品質ガイドライン』を見ると、「その他プラ」に該当するが、主に食品残渣のついた「上記以外の異物(金属・生ごみが付着したもの)」も、除去して欲しいと書かれているそうです。

 

誰が半分以上の焼却を許した?

 法律には書かれていない食品残渣は除去対象の「異物」ではないから行政は除かない。しかし、マテリアルリサイクルしようとすると、洗浄しなければならない・・・。でも費用がかかる・・。それで、容リ協会は、半分は産廃として焼却しても構わないガイドラインを作ったことがことがわかりました。

 同協会作成のホームページ資料『再生処理施設ガイドライン』には、「製品化する企業は入荷量の45%以上の製品化をするように」「化学反応による原料化(コークス炉化学原料)をする企業は85%以上の原料化をするように」と書かれているとのことです。

 なんと、製品化する際の最低基準は45%ですから、半分以上を産業廃棄物として焼却してもよいことになっているのです。

製品化するための上限額を設けてもよいの?

 入札は「入札価格がもっとも安い材料リサイクル事業者を優先とする」という原則で行わています。この方針は正しいと思いますが、「製品化」するための単価は「化学反応による原料化」より高いのです。

 平成17年度の落札平均価格は、「材料リサイクル(製品化)は1dあたり平均108800円」であるのに対し、「ケミカルリサイクル(化学反応による原料化)は1dあたり平均73000円」となっています。

 そのため材料リサイクルを優先しても、平成成17年度に、「製品化」されたのは24.9%であるのに対し「化学反応による原料化」は75.1%となっています。

 これでは製品化優先の基本方針は崩れるので、容リ協は18年度からはオンライン入札制度を導入し透明性を高めたことが功を奏したのか両者の比率は5対5になりました。

 ところが、ケミカルリサイクルしている鉄鋼業界は設備過剰になり困るので、国に善処を要望しています。

 一方で容リ協は、今年度から「製品化」の上限価格を設け、123000円と設定しています。しかし、沖縄や離島など運送費がかさむところではこの上限価格を超えているのに落札されています。製品化しがたい性情のものを無理にさせようとする矛盾だと思います。

 

国が責任を持ち政省令で基準数値を示してほしい

 私は、行政は異物を10%以下にする必要があるとか、分別基準適合物の半分が産廃として燃やされていることは関係者から聞いて知っていました。おかしいことだが、やむをえないという常識に囚われていたので、誰が決めたのかは調べようとしなかったため、まさか容リ協が決めているとは思いもしませんでした。中村さんが持っていた市民感覚をいつの間にかなくしていたのです。

 製品化基準の45%以上や、入札価格の上限の123000円は、消費税率と同じく物や金の流れを大きく変える大切な数値です。それを国が定めるのでなく、財団法人にまかせている今の仕組みはおかしいと思います。

 容リ法がこの6月に改正され、来年度から施行すべく、国の審議会で、政省令の改正問題が話し合われています。これらの数値を国が責任を持って容器包装リサイクル法に関する政省令で決めるよう要望していきたいと思っています。

 

“きれいな”「その他プラ」だけ収集してほしい

 市民がリサイクルを願い、まじめに選別して出した物の半分が産業廃棄物として他の場所で燃やされているのなら、これらを従来通り可燃ごみとして集め、買い物袋・トレイ等のきれいな「その他プラ」だけを分別収集する方が理にかなっています。

 箕面市の平成17年度のモデル地区での収集・選別費は、1トンあたり約30万円ですが、このうち設備費は約20万円、人件費が約10万となっています。分別収集量が半分になると、単純計算ですが人件費が半分ですむだけでなく、市民もきれいなプラスチックだけを出すとよいので、わかりやすくなります。それで中村さん達は箕面市に“きれいな”「その他プラ」だけを集めるよう要望しています。

(森住記)

事業系ごみの計量制度を改めよう

2006NEW環境展(9.78)から−

 

 今年もNEW環境展大阪がインテックス大阪で開催されました。主催者の日報アイ・ビーが同時に廃棄物リサイクルのセミナーを開催し、私は「一廃ビジネス動向」の部で、「静脈産業、発展の方向を探る」で基調講演させてもらいました。

 私の他、まじめにかつ先進的に一廃のリサイクルを進めている3事業者の事例報告がありました。その中で広島県の府中市にある「オガワエコネス」が報告した、事業系一廃の計量システムが大変参考になったので報告します。

 

箕面市の審議会では

 関西圏では、事業系一廃の処理料金に対する割引率が大きく、箕面市では処理コストがキロあたり18円かかっていますが、排出事業者は箕面市に対してわずか約1円しか支払っていません。

 これを是正するため審議会で事業者と意見交換をしましたが、関心が薄く2日間で10事業者が出席してくれただけでした。でもまじめな方ばかりですから、どのように訴えると理解してもらえるかがわかりました。

 彼らは許可業者に月決めで袋や容器の大きさでそれなりの処理料金を支払っているだけなので、“1円しか払っていない!”と言われてもピンとこないと言うのです。どの行政の料金制度も重さを単位にしていますが、排出段階で重さを量り料金を計算するわけではないので、行政に支払っている割合がわからないのです。

 

計量器搭載車があった

 豊中市のある許可業者は、料金について疑問が出されると、目の前で目方を量るようにしているので、市が値上げしても説明しやすいと言っていましたが、こんなまじめな業者は少ないだろうから、およそのかさでで決めても仕方ないかなぁと思っていました。

 ところが、「オガワエコネス」では、特別にあつらえて「計量器搭載車」を造り、その場で料金を明示しているというのです。こうすると月決めというあいまいな方法でなく、普通の商品並の決済がその場でできますから、許可業者に対する信頼感が増えます。最少1キロまでは計量できるとのことです。

 講演終了後、いくらぐらいするのか?と尋ねると200万円ぐらいと言っておられました。かなり高額なので、安くできないだろうか?他に造っている企業はないのか?について環境展出店企業に尋ねてみました。すると多くの収集車メーカーなどは、あまり関心を持っておらず、広島の業者の先進ぶりが浮き彫りになりました。

 でもこれからは明朗会計の時代!見かけ比重の大きい生ごみ類と、小さなプラスチック類の2種類ぐらいに分けて重さあたりの単価を決め、その場で計量できるようにしてもらうよう行政に働きかけようと思います。

 

プラスチックを5トン運搬する車両を開発  

 大阪市の「その他プラ」の選別・梱包業務を委託されている「リ・テック」は、工場が兵庫県の丹波市柏原町にあります。こんな遠方で、運送費もかかるのに受注できているのは、プラスチックを5tも運搬できる特注のパッカー車を造ったからだそうです。

(森住記)

 

 

 

大阪市がすでに減免制度を廃止していた!

 

 大阪市の改革マニフェストには、今年度早々に減免制度を廃止すると書かれていました。5月と7月に環境事業局を訪ねたときは、まだ決定していない、と言っていましたが、9月21日に訪ねると、なんと6月には決定済で「排出者各位」宛のチラシができており、「ごみ処理手数料 10kgまでごとに40円50銭を58円に引き上げ」「実施時期

平成18年9月1日」となっていました。

 チラシの置いてあった課は、許可業者を担当する規制指導課で、これまで訪ねていたのは総務部企画課や庶務課、施設部管理課で、担当外の事項であったので、よく知らなかったようです。新聞社には5月23日に知らせ、4大紙には広告を出したそうですが、私を含めごみ問題に関心のある人も殆ど気づきませんでした。

 10月からは粗大ごみも有料になり、職員はかかってくる電話にてんてこ舞いでした。こんな“大事件”が、目に止まる大きさで新聞に載らなかったのです。市政担当の記者の関心は、不祥事探しに偏りすぎだと思いました。

(森住記)

横巻き: 環境フェスティバルのお知らせ
とき 11/11(土),11/12(日)
ところ 万博公園
時間 10:00〜16:00ごろ
 今年も大阪ごみを考える会が出展します。
 竹炭せっけんや竹酢液などを販売します。日ごろ、顔を合わす機会がありませんが、会員の方は是非、年に一度の環境行事で交流しましょう。また、販売のお手伝いも募集しています。手伝っていただけるかたには、入場証とお弁当を差し上げます。
水川(06-6338-3908)までご連絡ください。
 なお、11日(土)16:00から運営委員会を予定しています。こちらにもご参加ください。