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中央環境審議会総合政策部会(第8回)議事録


  1. 開催日時  平成14年10月24日(金)13:30〜16:30
     
  2. 開催場所  経済産業省別館944会議室
     
  3. 出席委員  15委員

森 嶌 昭 夫
廣 野 良 吉
安 原   
青 木 保 之
天 野 明 弘
飯 田 浩 史
武 田 善 行
筑 紫 みずえ
波多野 敬 雄
宮 本   一
村 上 忠 行
村 杉 幸 子
甕     滋
横 山 裕 道
渡 辺   修


 

 部会長
 専門委員長
 部会長代理
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員
 委員

  1. 議  題

 (1)

意見発表及び質疑応答(敬称略)

萩原 喜之

特定非営利活動法人 中部リサイクル運動市民の会 代表理事

小松 幸子

特定非営利活動法人 グラウンドワーク三島 理事

松原 明

シーズ=市民生活を支える制度をつくる会 事務局長

首藤 万千子

羽根木プレーパーク 世話人
(環のくらし会議地域の取組分科会メンバー)

南  清

三重県環境部 環境創造活動チーム マネジャー

小林 珠江

株式会社西友 執行役員/環境推進室 室長

品川 尚志

日本生活協同組合連合会 専務理事

(2)

全体討議

(3)

その他
 

  1. 閉会
      
  2. 配付資料

資 料 1

 

地域環境力創造戦略(案)について

資 料 2

 

環境保全活動活性化方策の検討スケジュール(案)

 

午後13時30分開会

○浅野環境教育推進室長 定刻を過ぎましたので、まだ一部、お見えになっていない委員の方、ございますけれども、開会させていただきたいと思います。
 それでは、本日の議題でございますけれども、本日はご審議いただいております保全活動の活性化方策のあり方につきまして、関係者の方々からヒアリングを行うということにいたしまして、7つの団体の方に、本日はお越しいただいております。
 まず初めに、本日、ご意見をいただく7団体の方をご紹介申し上げたいと思います。発表順にご紹介させていただきたいと思います。
 まず、特定非営利活動法人中部リサイクル運動市民の会代表理事の萩原さんでございます。
 続きまして、特定非営利活動法人グラウンドワーク三島理事の小松さんでございます。
 シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長の松原さんでございます。
 続きまして、羽根木プレーパーク世話人で環境省の環のくらし会議地域の取組分科会メンバーでもございます首藤さんでございます。
 続きまして、三重県環境部環境創造活動チームマネジャーの南さんでございます。
 続きまして、株式会社西友執行役員環境推進室長の小林さんでございます。
 それから、日本生活協同組合連合会専務理事の品川さんもご出席いただける予定になっておりますけれども、後ほどお見えになる予定でございます。
 同じく、山元さんでございます。
 それでは、次に資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元に、まず、政策部会の議事次第、その後に資料1ということで、前回、ご説明申し上げました地域環境力創造戦略(案)について、という資料をお配りしてございます。
 その後でございますけれども、ばらばらになっておりますが、本日ご発表いただく方々からいただきました資料を、発表順にお配りしてございます。まず萩原さんの資料は特にございませんということで、初めにグラウンドワーク三島というのがございます。それから、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会の1枚紙の資料と、ピンクの資料がございます。それから、首藤さんの資料で、クリップでとめたものがございます。その次に三重県環境部という資料がございます。さらに横長になりますが、西友さんの資料がございまして、その後に、最後に生協さんの資料がございます。また西友さんの方からは、それ以外にもたくさんの関係資料をいただいておりまして、それらは皆さんの向かって左側の方にCD以下、パンフレット等をお配りしているところでございます。
 もしも足りないもの等がございましたら、また事務局の方にお申し出いただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、会の進行の方は森嶌部会長の方のお願いしてありますので、部会長、よろしくお願いいたします。

○森嶌部会長 それでは、ただいまから第8回の総合政策部会を開催させていただきますが、本日は私どものお願いで、意見発表ということで、7つの団体から、お忙しいところおいでいただきましてありがとうございます。私は部会長の森嶌でございます。こちらにおられるのは、まだおられない方もいますけれども、総合政策部会のメンバーでございます。
 それでは、議事の進め方ですけれども、最初にNPOの4人の方々に続けてご意見をいただきまして、その後、質疑応答をさせていただく。そして、3つの団体の方から続けてご発表いただきまして、そして、それに対する質疑応答をさせていただく、ということにさせていただきたいと思います。
 それでは意見発表の時間が、まことに恐縮ですけれども15分程度でお願いをいたしたいと思います。15分経過したところで、今、事前にベルが落ちましてチンと鳴りましたけれども、(笑い)あのベルを事務局の方で鳴らすようですので、よろしくお願いをいたします。16時30分までには終了したいと考えておりますので、よろしくご協力いただきたいと思います。
 それでは、最初に萩原さんから、よろしくお願いいたします。

 

萩原様 名古屋から参りました中部リサイクル運動市民の会の代表理事をしております萩原と申します。よろしくお願いいたします。
 ヒアリングになれておりませんので、資料のようなものを特段用意しませんでした。口頭でお話をさせていただきます。
 まずは、地域で中部リサイクル運動市民の会は活動を始めて、設立が1980年ですので22年になります。地域で活動して、今回の地域環境力創造戦略案というものに対しては、基本的には大歓迎をしたいというふうに考えております。
 それについては、2点触れておきたいと思いますが、我々の団体は任意団体からNPO法人になりましたけれども、このNPO法という流れが日本に来てからこんな状況になりましたけれども、ちょうど各地にNPOを支えるNPO中間組織としてのNPOセンターが定着をし始めて、これからは、ちょうどそういう意味ではカテゴリー別、異種別のNPOセンターのようなニーズが出てくるであろうという時期と、ちょうど重なっているというのが1点です。


 そして、私どものように地域に根をおろして22年近くやってきた団体として、もう我々だけで何かするということではなくて、サポートに入っていこうというようなことが必要になっている段階だということを、2点目としてお話しをさせていただきます。
 我々もミッションを、今までは循環型社会づくりという言い方をしてきましたが、今は地域循環型市民社会づくりという、「地域」という言葉と「市民」という言葉を循環型社会の中に入れました。

それは地域にこだわりたいということで、今回の地域環境力創造戦略というのと重なっていくわけですし、では、それをだれが担っていくのかといったときに市民である、市民社会という形成がベースになるであろうと。今回の案も全く同じような脈絡で提示をされているという意味で歓迎をしたいということです。
 ただ、全体を読ませていただいて、実際、動かすとなるときの懸念ということで幾つかお話しをさせていただきたいと思っておりますが、この中で、案の1ページ目に、「広いパートナーシップの形成などを基本的な考え方として」という、この「パートナーシップ」というものが、なかなか現実は認識がされていませんし、やりにくい。パートナーシップが組みにくいという現状があります。これは、環境NPOだけではなくて、NPO全体に言えることですが、まだまだ社会サービスを担うということや、社会にコミットするという力が、まだ途上であるという意味で、NPOが自立をしていないと、なかなかこのパートナーシップというのが組みにくいのだということです。
 そういう意味では、この地域環境力創造戦略の前提になるためには、NPOの自立を促す、これはNPOだけでなくて、市民セクターもしくは市民の自立ということが前提にないと、この案が実行に移せないだろうというのが懸念であるということです。そういう意味で、NPOであったり、市民というものを、ある意味で自立を促すようなベースが必要であろうということです。
 ただ、それだけではなくて、実際、現場でやっていますと、民間企業、NPO、民間の部分では割と、そうは言いながらも応用が効きながらいくんですが、行政の皆さんと組むときに、やはり今ままでのやり方、今までの関係性がなかなか変わらない。そういう意味では、行政自体がこの市民社会というものがどういうものかということを理解しないと、この話もどうしても前に進まないのかというのが懸念です。
 例を2つ挙げさせていただきますけれども、1つは青山にあります地球環境パートナーシッププラザです。

関係者の方もおられるかと思いますので、少し耳の痛いお話になるかもしれませんが、どうしても環境省主導型になってしまっている。

これは環境省の悪口を言うつもりではなくて、お金を出すところが、やはり発言力が強まる。ましてや環境省は国の機関ですから、国のやり方になっていくということで、そこに出向しているNPOはNPOなりのやり方をしたくて来ているというところもあるかと思います。ここら辺は“産みの苦しみ”なので、やむを得ないとは言いますが、NPOらしさをここで変えてしまうということが、どうしても出てきていまうというようなことがあります。
 そして、今、地元ではNPO委託という流れが、環境NPOのところにも来まして、愛知県も愛知環境づくりネットミーティングという事業を、今、ちょうどやっているさなかですけれども、やっていて、はやり感じるのは、言語の違いや、仕事の仕方の違いが甚だしいということがあります。これはお互いさまではありますけれども、相当寛容な精神を持って接しないと、お互い対等であると思ったら、まず切れてしまうんですね。
 そういう意味では、これはどこから来るかというと、やはり行政は行政の公平性であったり、行政の特色のある仕事の仕方を、どうしてもNPOに対して委託をしながら、行政的なやり方をしてくれという、委託のあり方でさえも、こういう状況があるということなんです。
 そういう意味で、よっぽどこの辺、お互い認識をしておかないと、パートナーシップというのは形成できないなということがあります。

もちろん、私たち市民であったり、市民セクターの認識の甘さもあります。ですから、この辺、各セクターは、よっぽどパートナーシップや市民社会というものを前提に置いて、この地域環境力創造戦略というものをとらえないと、従来型のものになりかねないということを、懸念としてお話しを最初にさせていただきたいと思います。


 私たちも、今、地元、中部地区では、これをどうしてつくるかというのは、青山の地球環境パートナーシッププラザを、ある意味では反面教師としてとらえて、できたらパートナーシッププラザをパートナーシップ立でつくれないだろうか。

そういう意味では国の丸抱えではなくて、国、県、市町村、企業セクター、NPOセクター−−NPOセクターはお金が余りありませんので、汗を流すということになるかと思いますが、それぞれが持ち寄る形でつくれないだろうか。まず創造戦略でも、地域の拠点という話がありますが、ここもつくり方を気をつけないと危ないなということです。
 そういう意味では、日本NPOセンターという、全く市民立でつくった中間組織がありますけれども、ちょうどNPO法ができるあたりから市民社会ということが語られ、日本NPOセンターが産み落とされたわけですが、あの辺は、ひとついい前例として見ていただけたらと、民間でつくっていくということが非常に重要であろうということです。

 それから、資金のところでお話をさせていただきますけれども、私も地球環境基金の助成専門委員を、NPOセクター側としてさせていただいておりますけれども、これもちょうど10年という節目で、大幅に見直しが、やはり必要であろうというふうに私は考えています。
 1つは、この基金で事業を完成させていくための助成という視点と、もう一つは、ここでいう地域の環境創造力を強めるという意味では、NPOを育成するというところは分けて考えていかないと、なかなか日本の環境NPOとしては、地球環境基金は非常に頼りにはしていますが、使いにくい部分があります。やはりNPOの自立を促すという意味のめり張りの効いた地球環境基金のあり方が必要であろうということです。
 税制擁護措置は、シーズの松原さんが来られていますので、ここは松原さんにお願いするとして、もう1点、環境基金で考えていきたいのは、自立性を促すといったときに、国のお金だけでやっていくということも限界ですし、基金自体がふえていくような形態、そしてもう一つは、この助成金をただもらうだけではなくて、自分たちで助成金を獲得できるというのは、自立性を促すという前提ですので、マッチングシステムであったり、直接NPOが民間企業に働きかけをして、地球環境基金に基金を入れて、特定寄附のような形、そこにマッチングをするという、以前、そういう模索もありましたけれども、そのような形態を考える必要があるのではないかなというふうに考えています。これが1枚目に対しての私の意見です。


 そして、2枚目、「地域における協働の促進」というところで、少し気になっていますのが、「協働による活動の実施の促進」というところで、登録制度というところが何度か出てきますが、何かこれも私は気になってしまいます。うまく言葉で言えませんが、これで進むのであろうかというふうに感じております。


 3枚目に入りまして、地域環境力創造戦略(案)の下のところで、「地方環境対策調査官事務所の充実」というところがありますが、実は、今回のこの流れで、10月初旬に調査官事務所の主催で地域のNPOが集まりましたけれども、1つ感じたことは、中部地区の場合、非常に範囲が広い行政区の区割りがあるわけです。そういう意味では、地域として広過ぎるというところで、その辺も地方環境対策調査官事務所の皆さんが、行政の区割りだけに余りとらわれずに、実情に合わせて活動していただけるといいなというふうに感じました。
 そして、この箱の中のネットワークの中で、「海外とのネットワークの構築」という部分ですが、これは環境NPOだけではなくて、ヨハネスブルグサミットの流れを考えますと、国際協力NGOの皆さん、地域同士で、ここは連携をとるという形で海外とのネットワークの構築が要るのであろうと、我々としてはそのような形で海外とのネットワークの構築をしたいというふうに考えております。


 そして、1枚、はねていただいて、「人材育成、確保、活用について」というところで、ちょうどこの調査官事務所が委託という形で、環境カウンセラーの皆さんが仕切っていただいたんですが、1つは環境カウンセラーの制度で、なかなか私たちが日常的によく出会う環境NPOの人たちが少いということがあります。割と企業の皆さんであるとかいう方がカウンセラーの場合は多いので、新しい出会いという意味ではいいんですが、この辺の地域での融合をどうするのかというのを、今後、出会いを重ねればいいんでしょうが、課題だなというふうに思っております。


 あと、全体をこの「人材の育成、確保、活用について」というところで言いますと、地域でこれをやっていく場合、圧倒的に多数の市民の皆さんを相手にしていくといった場合、トレーナーの不足というのが、一番大きな壁になるであろうと思っております。
 たまたま中部地区では2005年に環境をテーマにした国際博覧会がありますので、このようなことを機会に、トレーナーを地域に排出できないだろうかということは考えておりますので、もし、このような動きが、地域で行われるのであれば、中部地区の場合はこんなことも意識をしていただけたらと。
 あとは、この動きというのは、環境省の方からこのような形で示されましたが、当然、NPOセクターであったり、既往セクターからも、非常に似たような形で動きがあります。例えば地域ですと、愛知県であり、名古屋市であり、NPOでありが、環境教育のプラットホームづくりに動いておりますし、今回の環境創造力戦略については、例えば具体的な名前を挙げますと、セブン‐イレブンが中間組織をつくって地域の動きをしているとか、その辺の情報をうまくミックスする必要があると思います。
 ちょっと時間を超過しました。以上です。

 

○森嶌部会長 どうも、大変詳しい、いいお話だったんですけれども、水が入るというか鐘が入ってしまいました。また後で時間がありましたら、お願いします。
 それでは、小松さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○小松様 静岡県三島市から参りました小松幸子と申します。
 先ほど環境省の方から名刺をいただきまして、それについていますロゴマークを大変興味深く思っています。私の資料の左の上に、グラウンドワークのロゴマークがありますけれど、イギリスに視察に参りましたときに、イギリスのロゴマークをそのまま、お仲間だからということで使えるかなと思いましたら使えませんで、これは三島独自のものです。これは白黒なので、カラーのものもお持ちしましたが、身近な環境改善というふうにグラウンドワークをとらえております。
 私たちの活動は、ことしで10年目になりましたけれど、10年前は市民団体が8団体でスタートいたしました。現在は20団体になっております。グラウンドワークといってわからない人がかなり多いので、先ほどのように「身近な環境改善」というふうにして、いろいろなことに取り組んでまりいました。キーワードを3つ掲げておりまして、資料の右上にありますように、住民アクション、パートナーシップ、環境創造と、この3つを柱に活動しています。
 私たちは10年前から突然始まったわけでなく、その前から“水の都”と呼ばれておりました三島、富士山からのわき水の豊富だった三島が、時代の変化とともに、皆様の資料の最後にカラーの「せせらぎマップ」をつけてございますけれど、左上の写真があります。三島の市立公園楽寿園の小浜池の、注意書きが「満水時の水」と書かれているんですが、今、おいでいただきますと、この池の水、一滴もございません。時々このような風景に戻りますが、富士山の噴火の溶岩の池、2万坪あるんですけれど、ここが大変象徴的で、この池から市内を源兵衛川とか、宮さんの川−−蓮沼川という川が流れ出ていたんですが、池がかれてしまっては、川もかれてしまうわけですけれど、この川が、現在来ていただきますと、とてもきれいな富士山の湧水が流れておりまして、そのあたりがパートナーシップという、市民と企業と行政が、いい関係で街をよくしていった1つの事例として、日本全国から視察の方が大勢いらっしゃいます。ほんとに水があるのとないのとでは、人の気持ちも大変違いまして、私たちは諸事情で企業からの協力で、水の一次冷却水をいただくことができたわけですけれど、なくなってしまったもの、なくなっていきそうなものについて、私たちの時代よりも少し前の方々も不安を感じて、何とかしなければという声がたくさん挙がっておりました。20団体の1つであります三島ゆうすい会というのが、平成4年、11年前ですけれど、スタートいたしましたが、そういう先人たちの思いを活動に表現といいますか、実際の活動につなげていっている団体と思います。
 私たちは、この10年を振り返りまして、つい先日、全国のグラウンドワークサミットを三島で開催いたしましたが、その折り、このような「パッションで前進」という1つの本に、今までの活動、それから今やっていることをまとめたんですが、本日、皆様にお配りした資料が、実はこの中のページの幾つかをコピーしたものです。きょうのために準備したといいますか、大変これが今月初めに忙しかったので、その中の三島の取り組みと、それからこれからについて、わかっていただけれかなと思うページをちょっとコピーいたしました。
 私、どうしてグラウンドワークにかかわるようになったかと申しますと、団体の1つにグローバル文化交流協会というのがありまして、女性の多い、主婦の多い団体ですが、その団体で10年以上も前に、「バイリンガル環境かるた」というものをつくりました。英語と日本語で環境について考えていくという、遊びを通してなんですけれど、このカルタをつくっておりましたので、環境教育の分野を担当してもらえないかと言われたのがきっかけでした。
 このカルタについては、外国にも持っていって実演もしたり、それから、近くの小学校、中学校、幼稚園でもやりますけれど、いろいろなところで使っております。ひとつお願いしたいことは、環境省、私は国に対して何というのは、すぐには大きなことで、私が考えるものとしては拡声器になっていただいて、地域で何か環境に対していい取り組みをしているところのものがいろいろあると思いますが、それをさらに広めるような働きをしていただきたいなというのが、1つです。全国から注文をいただいておりますが、多分、今まで環境省さんからは注文はなかったと思うんです。ほんとにささやかなものですけれど、でも、この間もイギリスの方にもやっていただいたんですが、奥様と一緒にうなづいていらっしゃいました。世界じゅう共通なことがたくさん盛り込まれていますし、地球上の皆さんが取り組まなければならないことというのは、ともに同じものだと思っております。
 それから、最近では、総合学習等でいろいろ地域で、何年生の授業に来ていただきたいとかという声がかかりますけれど、常々思っておりますのは、時間的に余裕のある、そして、そういう気持ちのある方に来ていただいているのでということで、私たちが何時間行ってもお茶が一杯だけなんですね。それで、静岡県では、独自の内容で、水資源啓発授業というものについては、県が費用を出しまして、NPOに委託して、そして私たちが授業に出ているんです。その場合は費用が確保されております。そして、最近では、自分たちが行く学校も探すように、また独自の内容で授業をやってみたらどうでしょうかというので、半々ぐらいな形で、もう少し自分たちの創造的な授業もできるように、県の方が少し幅を広げてきてくださっています。
 ですけれど、一般的な学校では、夜でもいつでも電話がかかってきて、そして、急にファクスが送られてきて、「何日の何時から都合はどうでしょう」というふうに個別に頼まれてしまうことが多くて、ノーと言えないというか、お役に立つなら、ということで行くんですけれど、皆さん、ボランティアは時間が余っている人がやっていると思っている学校が多いようなんです。私、昔、教員をしておりましたので、先生がそうやって一緒にやっているのと同じように、私たちは授業をやっているんですけれど、そのあたりを、ぜひ環境省と、それから文部科学省等でお話し合いいただいて、何かいい方法があればなと思っています。環境教育といって、どちらが分担とか、線引きとか難しいと思いますが、重なる部分が多いと思いますので、ぜひ、一番の末端のところの意見も聞いていただきたいと思います。
 それから、もう一つですけれど、私たちも子供たちに接するいろいろプログラムを企画しておりますが、やはり学ぶ場といいますか、市民も学びたいと思っております。独自にも専門の人たちと一緒に学ぶ機会をつくっておりますが、ぜひ具体的な情報をいただきたいなと思っております。
 それで、私たちが取り組んでおりますことについて、やはり続けることが大切だなと思っています。大勢のみんなで参加して汗を流すという、先ほどの住民アクションですけれど、そういう部分も大事ですし、それから、声をかけて大勢の方が参加する場合もありますが、黙々と1人で続けていらっしゃる、そういう実践地もたくさんあります。
 カラーの地図は、商工会議所がつくりました観光にも使われる地図で、この中にはグラウンドワークという言葉はありません。資料の2ページ目には、プロジェクトの地図がコピーされていますが、重なる実践地というのはありまして、私たちは黒子になっているかなと思っておりますが、そのあたりの、地道に続けていくという人たちが大勢いるということと、それから、もう一つ、先ほど萩原さんもおっしゃってましたけれど、いただいた資料の中に、環境リーダーを育てるというところがありました。リーダーというのは大変大事なことだと思いますけれど、笛を吹く人と、それからそこに参加する人、実は汗はだれでも流せるんです。そのだけでもできるところを大勢の人に参加してもらえるような、そういう環境の条件というのが、環境活動への参加条件というのが、とても大事だと思っています。
 私たちの中にも、源兵衛川を愛する会とか、それぞれの川をきれいにしようという会がありまして、会員がやってもおりますけれど、市も独自に日を設定して、また学校の子供たちも、このごろはそういう活動に参加しようというふうになってきています。総合学習という一くくりで言われている取り組みというのは、私は大変おもしろい投げかけだったと思います。問題点もたくさんありますけれど、そしてまた内容も本当にさまざまで、地域でいろいろなことが起こっているだろうなと思うんですけれど、何か新しいことを始めて続けていくという、そこに本当に素朴な人々の、昔、三島の水が豊かだった、ああいう時代を、もう一度取り戻したいなという、本当に素朴な願いで活動に参加している人が多いものですから、そういうところと総合学習というふうな、今の取り組みがつながっていくことは、大変うれしいことだと思っています。
 そして、「未来に向けて」という最後のページですけれど、この本をまとめるということに当たって、これは実現可能かどうかなと、私、思うようなことも幾つかありますけれど、やはり私が今、とても大事だと思っているのは、次世代への要請といいますか、高校生、中学生たちの参加です。今までも、私も「バイリンガル環境かるた」以来、グローバルガーデンといいまして、地域の農家で遊ばせている畑を借りまして、 300坪のガーデンをつくってきておりますが、学生さんたちというのは、学生さん同士のバトンタッチの仕方というのが難しいと、なかなかつながっていかないなと思っております。
 グラウンドワークを通しまして、山形県の堀米幹夫さんという先生の山形方式で、高校生のボランティア活動について知る機会がありまして、先日も堀米先生に全国グラウンドワークサミットにおいでいただきました。地域から出てくる高校生、何々高校のだれだれでなく、どこどこに住んでいる高校生、それがとても大事だというお話でした。
 私も、これから、そういう地域に根差した若者たちの参加について、少しでも力になりたいなと思っております。ぜひ、いろいろなところに、アドバイスもそうですし、いい情報をいただきたいなと思っております。
 以上です。ありがとうございました。

 

○森嶌部会長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、松原さんの方から、よろしくお願いいたします。

 

○松原様 こんにちは。シーズ=市民活動を支える制度をつくる会の事務局長をやっている松原と申します。よろしくお願いします。
 皆様のお手元に1枚のレジュメと、シーズのピンクのリーフレットが入っているかと思います。シーズという団体は環境分野の団体ではないものですから、簡単にご説明させていただきますが、レジュメに書いてありますように、1994年に、当時、まだNPO法とかそういう言葉が一般に知られていませんでして、市民活動団体が集まって市民活動団体が活動しやすい制度をつくろう、ということでできた連合プロジェクトという制度を持っています。目的はNPO法の創設、それからNPO法人に関する支援税制の創設、それからNPOに関してNPO自身の情報交換を進めるという、この3点です。
 その後、国会議員の先生方と一緒にNPO法づくりというのを進めてまいりまして、98年に、ご存じのようにNPO法ができ、その中にNPO法人に関する情報公開、情報を開示することができた。それから、2001年、去年ですが、10月に新しくNPO支援税制をスタートすることもできまして、大分目的が達成できたのかなと。
 ただ、ご存じのように、NPO支援税制は、NPO法人のうち、一定の認定を受けた法人が、「認定NPO法人」という資格を得て税制優遇が受けられるということですが、認定NPO法人になれた法人というのが、現在、全国でわすが8法人。NPO法人は全国で 8,000を超えています。今、 8,300ぐらいありますが、 8,300の中の8法人。 0.1%に満たない。 1,000に1つも行けないという悲惨な状況がございまして、これに関する改正ということで、環境省、内閣府始め各省庁、それから、国会議員の方々と一緒に、これらを議論をしているという状況です。
 今回のこの国会、来年の税制改革に向けて12月までに税制改正をしていくということで、その中でNPO税制の改正というのも入っているということで、今、その取り組みをしています。ぜひ、環境省においても、より強力に、このNPO税制の改正を求めていただきたいと思うところですが、きょうは、本題は地域環境力創造戦略についてコメントというか、ヒアリングということですので、その話は少し置きまして、地域環境力創造戦略ということについて、少しコメントさせていただこうと思います。
 NPO法ができてから、私も全国の自治体にNPOの支援策について要望活動を行いました。また、今、ちょうど千葉県で、堂本知事のもと、千葉県のNPO政策というものをつくっておりまして、よく似たような形で、千葉県内のNPOの力をどうやったらアップできるかというような政策もつくっております。その経験から少し見ていて思う点というのをお話しさせていただこうと思います。


 まず、地域環境力創造戦略は、地域のNPOは非常に注目しているところでございまして、私も各地に行きますと、関係の多くの方から、今、国でこういう動きが進んでいるということを聞きます。かなり期待を持って見られている。私ども、これが発表されたときに、すぐ見まして感じたことなんですが、正直言って、目的はすばらしい、大賛成である。ただ、実際、その目的を実施していく手法が、かなり古いのではないかというのが正直な感想です。目的はいいんだけれども、その目的の実際の手法に関していえば、ちょっと古くて心配であるなと。
 何が古いかというと、私はいろいろな団体を知っていまして、例えば今まで社会福祉協議会が積んできた福祉のボランティアですとか、それから、消費者活動という、消費者センター、こちらに、きょうも生協の方が来られてますが、消費者センターというのを知っていますが、それと同じような方式になっているんです。全国一律同じようなセンターをつくり、委嘱とか、登録ボランティアをつくり、リーダーを要請し、そして、教育を進める。人材とかに関してはデータベースをつくる。言ってしまえば、非常によく見なれた手法を、しかも、今から20年くらい前に割と盛んだったかなという手法が、結構たくさん盛り込まれているなと。
 明らかに、今の時代というのは、地方分権が進んでおりまして、また市民の自発性というのも多様多岐にわたっております。

それから、縦割りで進んでいた政策というよりは、地域の生活現場に根差した、はかれない政策というのが必要とされています。環境NPO、つまり環境問題に取り組むNPOも、同時に地域の福祉活動ですとか、それから地域のまちづくり、また子供の健全育成といった分野にも同時に取り組むという流れになっています。そういう流れからすると、少しこれは心配だなというところがあるということです。


 とりわけ大きなポイントとしましては、国が一律にどの自治体でも、という流れです。

今、地方自治体ごとに、地方分権が進んで、国と都道府県と市町村が対等であるという流れで、市町村はそれぞれの政策をとってきようとしています。それに対していうと、同じようなセンターをつくって、同じような政策をとって、というのでは、地方自治体の独自性を出していこうという流れに水を差すのではないか。こういう懸念が持たれます。
 また、先ほど萩原さんがおっしゃったように、各地でNPOを支援するセンターが民間もしくは自治体ごとにつくられてきている。それは広いNPOを支援するという形がつくられてきています。環境NPOだけを支援するというのでは、地域の環境のNPOの本当の力はつかない。こういう状況、もしくは、そうでなければ育っていかない。NPO法では12の分野、環境保全以外に国際協力でありますとか、地域福祉でありますとか、12の分野が挙げられていますが、大体東京をとりますと、1団体平均3分野以上の分野を登録している。この分野だけやっているという団体というのは少いというのが現状です。ますます地域の現場へ行けば、いろいろなことをやっている。そういう地域の現場のニーズというのを十分反映できているんだろうかという懸念があります。


 それから、ネットワークの「全国評議会」と書いてありますけれども、今、この時代に全国評議会というのは一体何でしょう。

何か少し、どういう方向へ行くのかなと、ちょっと不安であるなというところです。


 NPOの方にアンケートをとると、このレジュメの3に書いてあるんですが、まず、行政側に求めているのは資金的なニーズが強い。これは当たり前なんですが、次に活動場所であるとか、広報活動の支援というのが出てきています。しかし、これに関していうと、なかなか行政の方も財政難である。それから、場所も新しく施設がつくりにくい。広報活動といっても、カンペだけで広報活動とはなかなか考えられない。実際に地域のNPOのニーズというのは、環境センターをつくって、そこで掲示板というよりは、自治体が出している広報紙を活用してくれという、こういうニーズが非常に強いわけです。つまり、割と各世帯ごとに働きかけていきたい、こういうニーズがあるんだと思います。

 
 それから、NPO自体、総特性としては、どうやったら力がつくかとなると、これは行政を中心にNPOがその下にあるとかいうのではなしに、NPOがないところは民間から民間への働きかけですから、民々の関係を生かして強化できるかというところが、実は地域のNPOなり市民の力というのを強めていく施策になっていくのだろう。

そうなってくると、必ず行政が中に立たなければいけないような仕組みを前提として提案していくのは、少し、これまた古いのではないかなというふうに思っています。
 また、NPOは、実際には地域におきますと、まちづくりの分野においても、環境の分野においても、協力、パートナーシップというのは美しいんですが、一方で競争もあります。NPO間の競争、提案の競争、まちづくりをやるときに、こういうまちづくりなり、ああいうまちづくりなり、こういう環境がいいという競争もあります。したがって、すべてパートナーシップが生まれるというよりは、例えば地域において、いい提案が採用されて、そのもとでパートナーシップが生まれるというような、競争促進事業の仕組みというのも、今後のNPO作成には、ぜひ欲しいところなんですね。
 それから、これは、アメリカとかイギリスの、地域の力をつけていくNPO支援策というところを見ていますと、国が一律のメニューをつくって、それのもとで地域に全国一律に展開していくというよりは、地方の特色を尊重する、地方からいろいろ提案を受けて、それを自治体のメニュー、都道府県のメニュー、国のメニューに当てていくという、逆のルートというのが、今、1つの流れが出てきていると思います。今、国で進められている構造改革特区構想がありますが、恐らく、その流れを受けてつくられてきているんだろうと。地方自治体はますますそういう流れ、それから、地方のNPOもそういう流れになっていくんだろうと思います。
 そういう意味では、むしろ、これを見ていると、少し国から地方自治体へ、地方自治からNPOへという流れがあって、むしろ逆の流れというのも、今後、この中に取り入れていく。つまり、地域ごとに提案を受けたら、それをちゃんと、国の施策のメニューに乗るような仕組みというのを、きちっと乗せていく必要があるんじゃないか。
 それから、地域ごとの地域の実情とか、地域のいろいろな力が違いますから、それに合わせた提案とか内容が反映されていく。構造改革特区ではそうですよね。構造改革特区では、地域ごとに、うちの地域はこういう産業開発をしたい、こういうまちづくりをしたいという提案を出していって、それを国のメニューにして、逆にそのメニューの中で制度改革していって、それをさらに募集していくというふうな流れになっていますが、そういう地域の自発性や市民の自発性に重きを置いた仕組みというのを、ぜひ、これにプラスして検討していっていただきたいなと思うところです。
 あと、委嘱、登録に関しても、先ほども言いましたが、これが古いというのは、今、地域では社会福祉の分野においては、今まで社会福祉協議会がボランティアセンターをつくって、ボランティアを登録していくという話で、登録ボランティアのもとに福祉を動かしていくということを、ずうっとやってきたわけですが、現状、地域の福祉の現場から言いますと、登録したボランティアがそのまま行くというよりは、そのとき、そのとき、民間の団体はいかにボランティアを集めやすいかということに、今、シフトしてきておるんですね。しかも、分野を変えて、福祉もあるけれども、福祉と子供、それから環境というのをセットした団体に人はいけないか。

今、地域に残っているのは、福祉団体、社会福祉協議会に登録したボランティアが環境問題の活動のときに参加してもらえない。それから、まちづくりというときに使えない。ボランティアでかこみになってしまっていて困っているんですね。一部のボランティアセンターでは、やはりそれはおかしいということで、分野からのボランティアセンターを切り離して、分野を超えて、いろいろな活動を市民に紹介していこうというボランティアセンターというのが、徐々にできつつあります。そういう流れからすると、ちょっとこれは違うんじゃないかという気がしてならないんです。


 今、市民の自発性ということを見れば、分野を超えて、いろいろな社会的課題に取り組むということが、市民の自発の大きなところになってきていますから、環境省はそういう市民の自発性を見据えて上で、環境問題に取り組むときに、そういう地域の自発性のセンターとか、ボランティアセンター、分野を超えたセンターにどういう事業とか、情報とか、バックアップができるか、地方自治体にどういうバックアップができるか、こういう、まず地方のNPO、自治体というのを先に、今、現状を想定した上で、バックアップという、国がやる政策のもとに、自治体、NPOに入ってもらって、現場に合わせたバックアップがどうできるかというあたりを、ぜひ検討していただければというふうに思う次第です。
 いずれにしても、自発性を尊重するということが、とても大切なんですが、自発性を尊重するとなると、少し、こういうメニューが合わなくなってくる。


 それから、資金の問題でも、先ほど萩原さんが言ったように、地球環境基金というのがありますが、私、見たことがあるんですが、とても使いにくい。あれほど細かい要件を課していて、細かい資料を要望するような助成金、これははっきり言って市民を信用しないという以外にないと思うんですが、ほかの国の助成金には見たことないですね。恐らく地球環境基金が一番細かくて手間がかかる。もう少しやり方を、ぜひ検討して、それから、自治体のいろいろな資金とタイアップして出せるような仕組みとかいうのも、ぜひ検討していただきたいと思うところで、これは基本的に非常に大賛成なんですけれども、やはりトレンドをとらえて、手法について、もう少し、いろいろと提案を見直していただければというふうに思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

 

○森嶌部会長 どうも大変ありがとうございました。将来の戦略、たった今の世の中のことをいろいろ教えていただきましてありがとうございました。
 それでは、引き続いて、首藤さん、お願いします。

 

○首藤様 羽根木プレーパークの首藤と申します。世田谷区にあります世田谷区の児童課の事業であります羽根木プレーパークというところを運営する地域住民というのが羽根木プレーパークの世話人です。このような場所は、とても不なれですので、お聞き苦しい点などありましたらお許しください。よろしくお願いします。
 では、始めます。
 川口元環境大臣、大木前環境大臣が呼びかけました「環の国くらし会議」で私は羽根木プレーパークの世話人として地域の取り組み分科会のメンバーとなりました。このときの会議の結果は、お手元にあります赤い小さなハントブックになっておりますので、後でゆっくりごらんになってください。
 そのときに、私は地域でいろいろな活動をしているんですけれども、先ほどの羽根木プレーパークの世話人もそうですし、今、総合的な学習と連携して、学校の校庭を地域と学校と子供たちとみんなでつくっていこうという活動を始めているんですけれども、そのような活動ですとか、あと、またプレーパークに戻りますけれども、そういう全国で冒険遊び場、プレーパークのような、自由で、生き生きと遊べる冒険遊び場をつくりたいという人たちの活動を支えるネットワークづくりをしております。
 冒険遊び場情報室といいまして、お手元にも、それぞれの活動のいろいろなパンフレットなり通信なりがあるんですが、そんな活動をしているんですけれども、その仲間たちと相談して、きょうの、私のレジュメの後ろについている15ページの首藤メンバー提出資料というのを発表させていただきました。きょうは、この審議会で議論されているルール面の提案に重点を置いてお話しさせていただきます。

 
 まず最初に、環境活動の現場で直面する困難、問題点について申し上げます。

結論から言ってしまいますと、今は特別な場所だけしか環境のために使われていない、特別の人しか環境のための活動をしていないと感じています。具体的に気づく問題点は、この提出資料の1ページ、2ページに書いてありますので、ごらんになりながらお話を聞いてください。
 市民にも行政にも通じる問題点としては、環境活動を行うという動機や意識がそもそもない人が部署がほとんどだと思います。環境はだれか特別の人とか、そのための特別の組織の話と思われているような気がします。


 市民の側の問題点としては市民の持つ環境知識が断片的で、一つ一つの環境活動がそれぞれ1つの目的のためにしかなっていない。奥行きや広がりが余り出てきていないということが言えると思います。

市民の活動は、先ほどの話にもありますとおり、分野ごとに分かれてしまっていて、つながりが余りないのが実情です。そして、市民の持つ専門知識が余りないので、行政や事業者との信頼関係を築きにくいという問題もあります。また、環境学習や環境活動をする以前の問題なんですけれども、自然体験や、自然に対する愛着というものが余りなくて、土が汚いとか、落ち葉が嫌とか、そういうことに私たちは、時折りとても足をすくわれることがあるんですね。あと、環境活動にかかわりを持たない市民や事業者は、自分が所有する自然や環境の価値というのを余り認識していないような気がします。


 行政の方の問題点としては、環境以外の部局には環境の責任がないような縦割りになっていると思います。

環境のための場所、施策以外では、自然や環境の価値が無視されて、実際にあったことなんですけれども、本当に校庭の裏がアスファルト化されてしまったなんていう、環境に逆行するようなことも、結構平気で行われているんです。また、あえて環境の価値を無視した方が得意になるような仕組み、開発を促す働きを持つ固定資産税などなんですけれども、そういうものすらあると思います。また、行政のいい仕事というのは、たまたま配置された意識の高い職員の方で終わってしまって、それが引き継がれないので、そこで、私たちの活動に対しても、とてもそれで終わってしまうことがあるということがあります。それから、市民が行政などと話し合いたくても常設の場がないので、まず話し合いの場を、相手と認めてもらって、場を持つだけで、もうへとへと。そこまでで、もう疲れてしまって、もう嫌だわということに、よくなってしまいます。それから、場ができても、行政に何かを言ったとしても、行政の方が余り方針を持たれていないので、受け身になってしまって、市民のさまざまな意見をどんどんさばいていくということができない。ずるずる、ずるずるおくれていくということが、よく起こります。それから、条例や計画や方針などが、とてもすてきなのがあるようなんですけれども、全く知られていないてと思うんです。一般的になっていないと思います。実際、これが何の役にも立っていないというのが実情だと思います。また、いろいろな事業や活動などの評価が形式的で、そこに参加した人や、利用者の実感などの非数値的なことが余り反映されていないということがあります。

 
 それからまた、専門家の問題点なんですけれども、もともと専門家の数が足りない、環境活動へのサポートが余りできていないということがあると思います。それから、専門家がいても、自分の専門からの序言どまりで、具体的なまちづくりや活動の中で、余り効果的な役割が果たせていないということがあると思います。
 これらはみんな、市民の実感としてここに挙げさせていただきました。


 2のルールの提案に移らせていただきますけれども、今までに挙げた困難を解消して問題点を克服することによって、すべての人が、すべての場所で、それなりに環境のための役割を自主的に果たして、また役立てられるような社会になってほしいなと思っています。
 この資料の2ページから4ページが、そのための提案になっています。それから、その先の5ページから15ページまでは、いろいろなルールを、そのとき一生懸命みんなで考えたんですね。これは、例えば区でつくってほしいなと思ったつくって条例案なので、きょうは、国レベルのルールに従うと思われるようなポイントについてお話しします。
 まず、だれもが環境をよくする責務を持つことの宣言。公害を起こさないとか、自然を壊さないことは、今はだれでも当然の責務だと思っていますけれども、これからはこの段階ではなくて、環境基本法にあるように、環境の恵みを十分に受けるような質の高い環境をつくって、子供たちにもそれを引き継いでいくような国民みんなの責務として、よい環境づくりをするために、みんなで力を出し合おうということを、はっきりとうたいたいなと思います。

国民みんなの責務という以上、地域住民も、行政も、事業者も、活動団体もみんなそうした責務を負うということです。これをはっきりさせないと、すべての人に広がっていくということが余りできないと思います。
 

次に、(2)の、いろいろな立場の人が参加する協議会の設置についてですけれども、環境を専門としない人や組織も含めて、みんなが環境活動を育てることについて、いつもいつも議論できる場を設けていただきたいと思います。例えば、どんな環境活動が期待されるのかとか、環境活動はどのようにして進めるのがよいのかなどの基本的な考え方を、特に国の協議会の内容を打ち出してほしいと思います。
 こうしたことを決めるときには、6ページから7ページにあります、いろいろなこうした幅広い活動が盛んになるようにご配慮いただきたいと思います。特に、7ページの10番、11番のあたりは、自主的な活動が長続きするためには、楽しさや興味といった日常的な動機づけが欠かせないので、そのあたりも、とても大切にしていただきたいと思います。また、次世代を担う子供たちの自然への愛着というのは、今、危機的な状況だと思いますので、子供たちを対象にした楽しい日常的な仕掛けというものも早急に考えなくてはならないことだと思っています。もちろん、いろいろな活動ということには、これから、もっといろいろなことが加わっていくものと思います。そして活動の進め方については、市民の自主的な活動を、行政ではできない分野とか、そういう対象に及ぶことがあるということを、はっきり認めて、対等のパートナーとして位置づけていただきたいと思います。


 そして、行政と市民活動との間の透明性とか、環境活動の成果についての評価の仕方など、そんなことも大事にしてください。こうしたことも協議会で議論して、いろいろなルールを決めていただきたいと思います。また協議会で決めたことが世間に知られないと意味がありませんから、何らかの宣伝なりにも力を入れていただきたいと思います。もちろん大前提として、この協議会自体が市民の信頼を得るため、独立性があって透明度の高いものでなくてはならないと思います。委員の選び方や任期などにも気を配らないといけないと思います。今、国民は何も信じるものがないという状況だというのは、皆さんもご存じだと思います。


 次に、場所ごとの環境活動というのがレジュメに載っています。

場所ごとの環境活動について、私たちは区レベルの条例を考えていましたので、いろいろ細かい規定を考えたんですけれども、国レベルでは、地域に設けられる協議会のようなものが受け持つべき仕事の例として、こういうものの助言や、また結果の評価、さらに一般への宣伝、普及などの仕事は書いていただく方法があるのではないかなと思います。

 

ぜひ触れてもらいたいのは、環境活動のプランをだれもが、皆、持つべきだという点です。
 この資料にもありますように、私たちにも、この資料の一番後ろから2ページ目、裏表紙をめくったところですけれども、今、校庭でどんなことができそうかというプランを、やっと先生たちと一緒になってワークショップをやって考えたところなんですけれども、個々の環境の所有者かと責任者が、この環境をよくするためにどういうふうにしたらいいのかというプランを、皆が持っているべきだと思うんです。そういうことを、例えば学校や公園という業者が持っているものだけじゃなくて、地域の中小企業とか、スーパーとか、商店街とか、ちょっと広い個人の土地などでも、そんなことができたらなと思います。そういうものを実行して、その成果などが協議会で十分に評価されたり宣伝されたりするようになると、皆がこんなことをしたくなるのではないかなと思っています。
 地方自治体の公共事業などについても、ぜひぜひ、どんな事業にでも、このような環境をよくするプランを盛り込んでいただきたいと思います。その場合に、それを利用する人たちの意見をしっかり聞きながら、このようなプランをつくっていくということ自体、それ自体がすばらしい環境学習であって、その地域に住む人たちの意識を、どんどん高めていくことになると思います。

 
 次は、行政と市民を中間でつなぐ支援機関の設置についてですけれども、私たちがこういう校庭づくりなどの活動をしているのも、まちづくりセンターという区の外郭団体の組織があって、その公益信託まちづくりファンドというものがあり、公選された運営委員の審査を経て、市民のまちづくり活動にお金を出しますという制度があるんです。これがなかったら、ゼロ円では絶対に何もできないわけですから、この資金援助みたいなものが、とても役に立っているんです。
 それで、その資金だけではなくて、この中間の支援機関というものが、専門家を紹介してくれたりとか、資材を貸してくれたり、私たちが行き詰まったときに相談に乗ってくれたりということで、とてもとても私たちの手助けをしていてくれているんです。
 きょうは、お手元にある「子どもが結ぶまちづくり」というこの資料は、まちづくりセンターが企画してくれて、どうやって学校と連携していこうかというシンポジュウムなんですけれども、こんなものも、どんどんやっていてくれています。
 時間なので、もっと言いたいと思いますけれども、その行政と市民の間に立って、本当に中立的に動いてくれる支援機関を、ぜひぜひつくってほしいなと思います。

 
 それから、専門家の支援ですけれども、専門家がいなくてはどうしようもなりませんので、ぜひ専門家もちゃんと仕事として成り立っていくような、いつもいつもボランティアではなくて、仕事として労苦が報われるような仕組みを設けてほしいと思います。
 さまざまな立場の人が協同作業をするときというのは、今後起こってくると思うんですけれども、中立的な立場で、参加のノウハウというものを持った、例えばワークショップのファシリテーターのような専門家も絶対大切な役割を担ってくると思いますので、そんな専門家のことも考えていただきながら、もう時間だということですので終わりにしたいと思います。
 自主的活動がきちんと支援されるように、“やらされ感”がなく、やっていけるようにと支援していただきたいと思います。
 済みません。長くなりました。

 

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。時間が足りなくて申しわけありません。
 それでは、ここで、今まで4人の方にご意見をいただきましたけれども、15分間程度になりますが、どうぞご質問等がございましたら……。ご議論をいただくのは、また後に時間を設けたいと思いますので、どうぞご質問とか……。

 

筑紫委員 グッドバンカーの筑紫と申します。
 私は金融の方から出てきた会社でございますので、やはり皆様がお金のことを非常にご苦労されていらっしゃるということが、一番印象に残っております。それで、その中で、いつもNPOの方は、そういう意味では余り行政とかにお金を期待なさらないことをお考えになった方が、私はいいと思うんです。
 それでよく、「お金を出されると口を出される」とおっしゃるんですけれども、それは当然のことだと思うんです。そういう意味ではやはり独自のことをやろうと思ったらば、もう少しお金のファンディングといいますか、資金調達というものに対する自分たちの専門性というものを高めるという、そしてある程度、自分たちも、例えば環境基金からこれぐらい出すけれども、NPOの側からもこれぐらい出して、半分・半分ですとなったときには、本当に対等に物が言えると思うんです。ですから、そこのところで自分たちに専門性がないから、お金はあくまで国からいただくんだけれども、国以上のことがやりたいと思われたら、やはりどうやって資金調達をしていくかということの専門性を高めるというのは、そんなに難しいことではないんです。
 ですから、その中で公益信託まちづくりファンドがあったらとっても助かったとおっしゃるのは、おそらく公益信託ですから、これ信託銀行にお預けになってやっていらっしゃるんですが、そのときのファンドのお金はだれが出しておられるんでしょうか。羽根木ネットワークさん、ご存じですか。

○首藤様 どなたが出していらっしゃるのかはわからないんですけれども、一般の人からもどんどん集めて、そういうのは募金というんでしょうか……

 

○筑紫委員 募金ではないでしょう、もし公益信託ならば、信託銀行に預ける公益信託という商品があるわけなんです。そこのところに、皆さんが自分でお金をみんなで集めて、そしてこのお金の運用益はこういうものに使われますということを特定してする、そういう金銭信託という商品なんですけれども、ですから、そういったものをお使いになれば、例えば1人が1万円でも、1人が10万円でも、たくさんの人が集まれば、こういう形で安定的な資金が得られるような仕組みというものを、ちゃんと金融機関の方で用意をしているわけですから、もっと自主的な資金調達というものをお考えになると、もっとNPOさん全体として活動というものについて、フリーハンドといいますか、そうなりますので、ぜひぜひ金融の仕組みというものを、もっと勉強をしてもらいたいと思いますし、もし、私でお役に立てることがあったらご説明をいたしますので、いつでもいらしてください。

 

○首藤様 はい、済みません、勉強不足で。確かにまちづくりファンドというか、それを運営するまちづくりセンターも、いろいろな形でチャリティを行ったり、公益信託にお金を入れてくれる人を募ったりはしているな、と思ってはいます。

 

○横山委員 私も報奨金というか、お金のことでお尋ねしたいんですが、小松さんにお聞きしたいんです。先ほど伺っていて、何時間いてもお茶だけと。それから、ボランティア活動は時間が余った人がやっていると思っていると。私も多分、そういうような状況があるんだと思います。しかし、ボランティア活動は有償であっていいので、むしろその方が責任感を持ってやれると私は思ってますけれども、小松さんは、何回行ってもお茶ばかりというのを改善してもらうには、例えばこんなふうにやってくれるとありがたいんだ、学校に行っても、少なくとも交通費ぐらいはきちんと出すような仕組みとか、何かいつも困っていて、こんなことが具体化されたらいいんだ、というようなことを教えていただけますか。

 

小松様 お金に関しては、私は授業のときと、もう一つは、私どもへ全国から視察の方がいらっしゃるんですが、視察の方には1時間 5,000円という説明代をいただいております。それは会の費用になります。近々、またよその県の行政の方のご案内を私がするんですが、直接依頼がありまして、お泊まりになって2日間で、前の日に2時間、次の日に2時間、合計4時間で2万円になるわけなんですが、そのような決まりがありますということを後から申し上げまして、予算がないとおっしゃったので、私は全くなしでご案内しますというふうにお返事をしてあります。
 民間の場合は事務局を通して来たり、個人的にも来たりしますけれど、まず、その視察の費用というのも、行政の方がお金がないとおっしゃれば、交通費程度とか、そういうこともあると思いますけれど、私もまた、よそでいろんなお世話になりますから、それについてはウォーキングも兼ねて、街の宣伝も兼ねて、いろいろ諸々兼ねてご案内させていただきます。
 それから、授業につきましては、私だけでなく、ほかの方もそうなんですが、退職したメンバーたちで、本当に時間に余裕のある者も行く場合がありますが、そうでなく仕事を休んで、かわりの人を雇って、そしてアルバイトに何時間か頼んで行くということもあります。それは三島ゆうすい会が近くの学校で頼まれたときには、4年生、全学年4クラスあるんですけれど、それの授業のために8人から10人近く、いろいろな分野で頼まれたんです。ですけれど、本当に、皆、お茶一杯で帰りました。で、「おかしいよね」と言っていたんですけれど、今度また私たちも自分たちの企画をする場面がありますので、お互いさまというところが大変今は多いです。
 交通費とかというのも、教育委員会関係者にはそういうことを申し上げているんですけれど、まず先生方が名刺を持っていらっしゃらない。私たちが行った4クラスの先生たちの名前と顔とかも、なかなか知る機会がなくて、1回だけで終わりということが多いので、もっと知り合いになるということが、まずお金よりも最初かなといつも思っています。
 個人的には、その先生が大変気にされて、別に私たちが何も欲しいと言ったわけではないんですけれど、個人的に先生がお菓子を心配してくださったりとかという場面は幾つかあります。ただ、具体的に、きょう何時間出たから幾らということは、今まで要望したことはございません。
 ですけれど、子どもたちの作文と、それから先生方の作文という作文集というか、お礼の手紙集というのはよくいただきます。いろいろな学校へ行って、いろいろなそういう反響は大変うれしいんですけれ、じゃあ、私たちはどこへ幾ら、最低労働何とかというので低賃金の最低の線を提示すれば済むものでもないような気がしています。
 それで、私たちがお役に立てばうれしいというのは事実なんです。そして私たちも子供たちの活動への参加というのは大変大事だと思っていますし、自然観察園というようなものもつくって、先日も作業だけでなく自然観察に専門家をお招きして、私たちのグループからその専門家の方に、ほんの気持ち程度ですけれどお礼をして、学校の方々は先生、父兄、保護者、児童の方々が本当に喜んで楽しかったというふうに参加していただいていますので、どこからお金が出てくるかというのは、ちょっと本当にずうっと疑問なんです。どのようにすればいいかというのが。
 総合学習ということをうたい始めたときに、そういう予算的なものは、国の方は何も考えていなかったのかなというのが、ずうっと思っている疑問なんです。以上です。

 

○森嶌部会長 どうもありがとうございます。
 それでは、廣野先生。

 

○廣野専門委員長 きょうの4人の方からのお話しで共通する点で、特に私自身、非常に関心があるのは中間組織です。これは資金とか、そういう面だけではなくて、技術的な面とか、そういう面での中間組織の必要性は全く大賛成ですが、それから同時に、ローカルのいろいろな形のNPOが、お互いに自分たちの専門分野だけでなく、ほかの分野の方とも協力をするという、これは非常に重要で、特に国際協力については、そういうネットワークが重要と、これもよくわかりました。
 そこで、私の質問は、先ほど萩原さんの方から、できるだけ、もしそういうような格好で中間組織をやるとしたならば、それはいろいろパートナーシップの、お互いお金を出し合ったり、知恵を出し合ったり、人を出し合ったりするような、そういう中間組織が必要だというお話しがありました。

そういうような中間組織というものが、例えば名古屋地域にあるのか、もしないとしたら、なぜそういう中間組織ができないのか、そういうディテールでお伺いしたいし、同時に法制の方でいろいろ頑張っておられる松原さんにも、なぜそういうことができないのか、もしないとしたら、そこらあたりを、ぜひ少しご意見をお伺いしたいなと思います。

 

○萩原様 環境の異種別のNPOセンターというのがあるわけではありませんので、私が申し上げた中部地区でいいますと、多分、全国的にも数少ない例だとは思いますが、民設民営のサポートセンターが1つあります。ただ、これは大変初期の段階で、今はかなり行政の方からの緊急雇用対策のお金とか、業務委託の流れで、ちょっとバブリーで、逆に私は不安ですけれども、中間組織が、今、すごく勢いを伸ばしている。これもそう続かないとは思いますけれども


 ただ、私もそれがないとすると、自立的にその中間組織が立っていくというのは大変持ち出しが多くなるんです。

実際、中部リサイクルが、今、自分たちでやらないという形で、さまざまな団体と組んだり、いろんな人たちのネットワーカーになろうとする、いわゆる事務局的な役割をすると、我々はどちらかというと事業型市民団体ですから、専従スタッフは何か事業をやって、そこで常に収益を上げながら、その収益で活動をしてきたわけです。ということは、その事業がやれなくなる。やれなくなるだけではなくて、人を差し出して、無報酬の活動を、そこで事務局としてせざるを得ない。中間組織というのは、そういう非常に持ち出しと収入をきっちりしておかないと難しい。かといって私が冒頭で言ったように、どこからの紐つきになってはまずいというところが、非常に難しいところです。


 その意味では、廣野さんの言われたパートナーシップ立というものは、私もまだ見たことがないです。これはできるかどうかということは私もわからないですが、そうでないと、多分、意味がないなということでは、名古屋ではそのような実験をしてみたいということです。
 まず、その大前提は、やはり各セクターの企業や行政や市民セクターの志のある人の人的なつながりが前提だろうと思っています。ややもすると、やはり行政の皆さんは、志よりも仕事で来られる方が多いので、これはしようがないです。民間セクターは割とそうじゃなくて、ちょっと外れた人が、「よし、やろうか」といってやってくれるんです。その方が広がって行くという。そこら辺が、行政を批判しているわけではなくて、それはしょうがないですよね、役割として。そういう意味では、行政の方は志がある人は個人的にかかわっていただいて、冷たい仕組みとして行政は公平性を担保していかないと行政じゃなくなっちゃうものですから、そういう意味では、行政はちょっと外れておいていただいた方がいいという言い方に、どうしてもなるんです。
 ちょっとお答えになったかどうかわかりませんが。

 

○松原様 中間支援組織というのは、実は日本にはたくさんいろんな分野であります。

今、萩原さんがおっしゃったのは、割と地域のNPOを設立するためのNPOセンターですね。自治体が割と地域で、今後はその地域の、いわゆる福祉活動ですとか、介護保険もそうですし、環境、子供の育成という点で、NPOの力が必要であると。それからまた、地方分での行革ということがありますから、地方自治体も行政の役もNPOは必要であるということで、結構、各地の地域で、地域自治体が主導となってNPOの支援センターをつくる。これは中間支援組織。それから、民間がそういう動きを先取りして支援センターをつくる。場合によっては自治体と民間が協同して支援センターをつくる。自治体がお金を出して、もしくは場所を出して、民間が上に入るという流れが全国各地で起こっていまして、たくさんできているのが1つ。それから、分野ごとというのは、国際協力分野というのは、全国で十幾つかの中間支援組織ができていますし、それから、環境は、幾つかできたのが、そのたびつぶれている。私も、「市民フォーラム2001」ですとか、気候フォーラムとか、いろいろと中間的な支援組織的な活動をしつつも、結局は中間支援に徹し切れないで、やっぱり1つの分野に特化していくというのを見てきました。
 それ以外に、あと、子供の育成とか、そういう分野では、割と専門性を持った団体に中間組織もなりつつあるというところで、実は中間支援組織に関しては、さまざまな動きが出ていっています。
 ただ、問題は中間支援組織は、なぜ、なかなか成長しないのかという点に関していえば、やはり財源です。財源に関して、先ほどからも萩原さんが言っているように、今どちらかというと地方分権の流れのもとで、特に地域の中間組織がつくられてきていますから、財源もこっちも自治体に頼るという行動をとっています。だから、自治体と委託事業もしくは補助金、会館運営のお金というのが出てきています。それと、委託される内容でも忙殺されていて独自事業はできない。つまり独自事業の財源がなかなか開発できない。しかし自治体からのお金というのは結構大きいものですから、それをこなすのに精いっぱいであるというのが、今の、割と日本の平均的姿かなと。
 NPOにとっては独自財源はとても大切なことでして、中間支援組織、ますます行政とタイアップを組むのであるならば、やはり独自の財源の基礎をつくる必要がある。しかし、その前に独自の財源になりますと、まず、それがなかなかつくれない1つの原因は、NPO自体、マーケットが薄くて弱いということです。大体地域、全国のNPO法人、任意団体はもっと小さいんですが、NPO法人の数は 8,300。任意団体も合わせると大体9万ぐらい。これは分野を問わずです。大体その平均的な姿というのは、専従スタッフもいない団体が全体の4割ぐらい。有給スタッフもいない団体が4割ぐらい。そしてNPO法人の事業規模は年間 1,000万未満ぐらいの団体が全体の3分の2。事業をやっているお金で精いっぱいという、その個々のNPOがお金がない。そのために中間支援組織に対して十分なぺイをするだけの能力が、まだ育っていないというマーケットの薄さにあります。
 それから、中間支援組織という考え方自体ができたのが、まだ新しいものですから、中間支援組織自体が、どういう専門性を持つのかという専門的なプロダクト、製品に関する考え方が弱い。シーズの場合は、かなり自立財源になっていて、全国のNPO法人というのを中心としたマーケットと思っていますので、一定の独自事業があって、持ってはいるんですが、しかし、地域になってくると非常にマーケットが小さいんです。
 ですから、そういうマーケットをどういう形で、より強化していくか、地域のNPOも成長がないと、中間支援組織というのは成長がないという、そういう状況になってきている。

地域のNPO自体が財源を確保するためには、支援税制というか、税制の措置もないし、まだまだ。ただ、NPO法人になった団体というのは、統計をとりますと、1998年、つまりNPO法ができてから団体を立ち上げたという団体が半分ぐらいになるんです。つまり、ここ数年にできた団体がほとんどで、団体自体が運営したり、専門化していくのは同じ、プロダクトも十分つくれない、こういう状況がありまして、そのあたりをきっちり見据えた議論をしないと、いたずらに中間支援組織ばかりに焦点を当てていくと、結局、土台をつくらずに上部構造をつくるということになりかねない、という危惧があると思います。

 

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、後半に移りたいと思います。後半の3人の方にご意見をいただきたいと思いますが、最初に南さんに、よろしくお願いします。

 

南様 三重県の環境部の環境創造活動チームというところのマネジャーをやっております南と申します。
 きょうは環境保全活動の活性化方策に関する意見ということで、この方策については14年4月に論点整理がされまして、中間報告戦略案という形で出されてきておりますけれども、その中に記述されております地球環境問題を含めまして、今日の幅広い環境問題を課題として解決していくに当たって、国民、事業者、民間団体、あるいは地方公共団体、国などが、みずからの課題として協同連携しながら取り組んでいくという考え方というのは非常に大事なことだと。その中でも、特にNPO等の民間団体がますます重要な役割になっていくという考え方には、私どもも、その行政に携る者として、まさしくそうかなというふうに思っております。


 今回、出された案を見ますと、なかなか論点整理のところは総論として非常にわかりやすく、理解しやすいなと思っているんですけれども、中間報告とか戦略案になって、具体的なことになってくると、先ほど、ちょっとNPOの方が言われたような、いろいろな課題も、私どもも危惧するようなところがあるかなということで、三重県の取り組み事例なんかもご報告をさせていただきながら、ちょっとご意見を述べさせていただきたいと思います。

 三重県の方では、環境の21世紀というものを迎えるに当たって、その前年に当ります2000年を、一応、環境県民運動元年という位置づけをいたしまして、こういった環境保全活動でありますとか、あるいは環境創造活動といわれる新しい市民団体の動きなり、県民の動きを突き進めていくための組織づくりというものを進めてきました。
 幾つかの組織があるわけですが、そこにちょっとパワーポイントで出ていますけれども、1つは環境NPO等の、地域で行われる環境保全活動、あるいは環境創造活動、そういったものを具体的に支援していくための組織ということで、三重環境県民会議というのを2000年2月に立ち上げております。これについてはまた後ほど詳しく説明をさせていただきたいと思います。
 もう一つは、ローカルアジェンダをつくったときに、地球環境保全推進協議会というものをつくっておったんですけれども、なかなか会議だけで、実際の活動につながっていかないということで、ちょっと組織がえ、名称がえをいたしまして、既存の農協中央会でございますとか、漁連、商工会議所、福祉協議会、そういった県内の既存のあらゆる組織を束ねた組織でございますので、ある統一テーマに基づいて組織的な環境活動をしていただいて、それを県民運動として展開をしていこうということで、2000年7月に組織がえ、名称がえをいたしまして、「環境創造活動を進める三重県県民の会」という、ちょっと長たらしい名前になっておりますけれども、この団体では“夏のエコスタイル”ということで、7月、8月の暑い時期にネクタイとか上着を着ないような運動を、それぞれの組織の末端まで伝えていただくとか、あるいは夏の時期の電力消費量を節減していただくための夏のエコポイント事業ということで、前年対比6%以下の電気使用料になった家庭について交付金を渡しながら、そういう県民運動を広げていく、そんな活動をやっているということでございます。
 それから、もう一つは県と市町村をどういうふうにつないでいくかということで、これも県市町村環境協働連携会議ということにしまして、我々、本庁の環境部、地域機関の県民局の生活環境部というのが、定例的に毎月会合を持っていく。地域機関の県民局生活環境部は市町村の環境担当セクションと定例的に会合を持って、それぞれの情報流通をしていく。こんな組織をつくっております。


 それから、もう一つは、企業と行政が環境を軸として連携をしていくということで、「企業環境ネットワーク・みえ」というのを2000年11月に立ち上げまして、2000年に私どものチームで、この4つの組織を一応県民運動を進めていくための母体ということで立ち上げたのですが、実はこれに先立ちまして、平成9年、1997年に、人間と自然の共生を目指した緑のネットワークを広げる活動を推進するために、知事みずからが県民に呼びかける「三重環境メッセージ」というものを発表いたしまして、10月に「緑のNPO活動支援センター」というのを立ち上げております。その知事のメッセージの内容は、資料の1ページの真ん中ほどにありますが、こういったことを知事自ら発信しております。
 まず、緑のNPO活動支援センターの機能を説明させていただきたいと思いますが、主な業務といたしましては、NPOの相互交流の場の提供、あるいは機関紙、インターネット、ホームページによる活動情報の提供、活動実態の調査、発表あるいはその活動フィールドの情報収集、あっせん、そういったものをやっております。
 それから、専門職員を置きまして、「緑のお助け隊」という名前をつけまして相談に乗ったり、あるいは技術支援をしたり、研修会をしたり、こんなことをやっております。平成9年から、これまで活動をしてきましたので、約 100団体がこことかかわりを持ってきたという方向になってきまして、本年の7月に民間団体、ここにかかわった人たちが、「緑のネットワークみえ・自然環境創造協会」というのを7月に任意団体として立ち上げて、今、特定非営利法人の認可申請を行っております。この緑の活動支援センターの方は、基本的にはこの任意団体の方へ業務が移っていくということで考えておりますが、この組織につきましては、会費あるいはその事業収入、寄附金、これをその主たる財源として自立してやっていこうということでこざいますが、今は過渡期でございますので、事業委託とか、補助金とか、県も少しまだかかわる必要があるのかなと思っておりますが、それはちょっと来年度の予算へ向けての調整が必要ということでございます。
 それから、資金面で行政が関与して基盤整備をした事例ということで、「三重環境県民会議」というのがございます。この三重環境県民会議の活動内容は、これは県が財団法人三重県環境保全事業団に三重の21世紀環境創造事業ということで、3億円の基金を拠出しまして、その財源に基づきまして、環境NPOの方々とか、学識経験者、事業者の代表、そういった約20名ぐらいの方で構成する環境県民会議の中で、予算案を決めたり、あるいは環境県民会議としての事業を決める企画委員会、それから地域で活動をされる方々からの助成金申請を審査する審査委員会、その2つで構成をされております。
 事業の内容といたしましては、自主的に行う環境保全創造活動への支援、助成、それから県民等への環境保全創造活動への提案、あるいは県民会議としてリーディング事業を実施していくということで、今、特にレジ袋ゼロ運動ということで活動をしておりまして、それにつきましては、県内で15万 2,000ぐらいの署名を集めるとか、あるいはそのスーパー等と提携をして、「レジ袋ないない運動」というふうなものをやっております。
 それから、助成につきましては、平成12年は 127件で約 4,000万ほど。13年は99件で 3,300万。平成14年度の上期、下期がございますので、上期の方で40件で約 2,000万ほどの助成をしています。
 これらが環境保全活動を県民運動として展開していく仕組みということでございます。


 今回の中間報告なり、戦略案に関する意見ということで述べさせていただきますと、都道府県、民間団体で運営する各種の登録研修制度を整理、公表して相互に活用するというふうにされておりますけれども、整理、公表するだけではなくて、だれがどうやって、この仕組みを活用するかというところまで踏み込まないと、その整理、公表なんかが余りうまく生かされないのではないかな、というふうな気がいたします。
 特に注意をしたいのは、その環境の分野というのは非常に広いところがございまして、専門家が考えるにしても、その分野のセグメントとか、あるいはその専門家の技術力のレベルの設定とか、そういったものを地域や活動実態に応じて、多様な組み合わせが考えられると思いますので、その辺をどんなふうにするのかなという心配がございます。


 それから、能力に対応した人材育成システムを構築する。あるいは一定レベルを有する者を登録または委嘱するというふうになっておりますけれども、この能力判定みたいなことをだれがするのかということでございますけれども、実際に地域で活動をしている人は、自分で一定の価値観を持っておりますので、行政が判断をした、あるいは私どもでも県民会議の中で委員が判断したことに対しても、やはり価値観あるいはそういったもので、いろいろトラブルも生じておりますので、この辺は非常に難しい問題かなというふうに思っております。

 
 それから、拠点活動情報の提供についてということでは、具体的なサポートを行う支援機関、それから情報、あるいは活動交流を促すような中間機関、そういったものの区分けが必要なんだろうと思うんですけれども、今、案で示されている地域環境保全活動センター、それから、その次に来る環境創造リーグ、その相互の関係がちょっと今の案では非常に見にくく、わかりにくい。どんな役割分担になって、あるいはどんな補完がされるのかというのが、ちょっと今の案では見にくいというような気がしております。

 それから、資金援助についてですけれども、現在のスキームでは、中間センターに資金支援が必要なのか、あるいは個々の活動に支援が必要なのかというのが、ちょっと整理が見にくいというふうになっております。

 それから、ほかのNPOの方の話にも出ておりましたけれども、我々も聞くのは、今回のNPO法人の認定のされ方が非常にきついのではないかな。特にその総収入額に占める寄附金額の割合みたいなことが入ってくると、実際に事業活動をやって収益を自分たちで稼ごうというところは、寄附金控除にならないみたいなところがあるので、自立の意欲をそぐのではないかという声も聞いております。


 それから、協働の促進についてということでございますけれども、この協働の促進についても、公表や呼びかけというところだけでは、なかなか活性化につながっていかない。具体的に参加者と活動団体をつなげる、というところまで踏み込んでいくというふうなことが必要ではないかなというふうに思っておりますし、交流促進やネットワークの形成ということでも、活動紹介だけではなくて、その活動がその地域の環境保全にどのように役立つのだとか、その活動の意義というのを、それぞれお互いが理解できるようにならないと、それぞれ活動をやっているところが、先ほどもありましたけれども、競争ということもございますし、なかなかパートナーシップを組みにくいのではないかなというのが、私どもが、こういう団体とかかわっているときの感想でございます。
 雑駁でございますけれども、以上が、この案を見せていただいた私どもの意見でございます。以上です。よろしくお願いします。

 

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、小林さん、お願いします。

 

○小林様 西友の小林でございます。パワーポイントも用意していただいているようなんですが、コピーをとっていただきましたので、せっかくご用意をしていただきましたので、これに沿ってご説明をさせていただきたいと思います。
 きょうは、地域環境力創造戦略案についての我々事業者、あるいは、それぞれのお立場でやっていることからご意見を聞いていただくという場を設定していただき、大変ありがたい場を提供していただいたということで感謝をしておりますし、こういったことが、今、進められようとしているということは、一歩も二歩も前進だということで、非常に期待をして受けとめております。
 きょう、私どもの活動として幾つか資料を、かなりお荷物になるほどたくさん用意をさせていただきましたのは、この活動を通じて、今回のここにある戦略案、この戦略案が本当に動くのかということが、実際に我々がやってみた活動を通してご紹介をしたいというふうに思いまして、きょう、資料を用意させていただきました。

 

 我々、スーパーでございますので、地域の皆様と連動して何ができるかということを考えて始めたエコ・ニコ学習会という地域の学校、自治体、それから本当にそこに住んでいらっしゃる住民の方と一緒に始めようということで、1997年から開催をいたしました。子供を対象にした学習会でございますけれども、もちろん主婦の方、学生の方、たくさんのいろんな立場の方にご参加をいただいております。既に1万人を超えて、ことしだけで、 5,500名を既に超えているという状況になっております。
 ざっと、グラフを見ていただきましても、目標として2005年までに 1,000回の2万人の参加というような、ある種、目標を持って進めているわけなんですけれども、これもスタートの段階から産みの苦しみ、今もまた産みの苦しみというような状況がございます。
 先ほどから、それぞれ、我々のような企業ではないお立場の方のお話を伺っていたわけですけれども、ほとんど同様の苦労があるんだなということを実感したわけです。潤沢な資金がある優良企業さんは、もちろん別かもしれませんけれども、我々のようなところがこういった活動をしていこうと思いますと、非常に大きな資金的な問題にぶつかります。資金というよりは、むしろ企業であるということがネックになってしまうことが多いというふうに感じております。


 それが、今回の、お手元にお配りしたエコ・ニコ学習会のスウェーデン、ことしは、かなり、今、この学習会が、1997年から始めて地域にも根差してきた。次のステップは子供たちに環境先進国と言われているところ、あるいは福祉の先進国と言われているところ、そこへ行って学んできてもらったものを、親善大使として行くだけではなくて、帰ってきてから、それをみんなに伝達して広げていこうよという活動に入りました。
 「エコ・ニコinスウェーデン」という形で募集をしたわけですけれども、これは一企業が進めるということでは、大変なエネルギーを要しました。皆さんにお声かけをしたくても、まず、環境省さんにご後援をお願いし、ようやくご後援をいただいて、じゃあ、これで、一企業ですけれども、うまく進められるかなというふうに思ったわけですけれども、全く非営利事業でありながら、企業がやるということでいうと難色を示される自治体さんがほとんどでした。
 それから、あるところでは、実際にエコクラブを中心にした自治体に情報を提供するわけですけれども、先ほどもお話が出ていましたが、例えばエコクラブの窓口というのは各行政によってばらばらです。一体これはどこへ行ってしまったんだろう。実際に、お電話をすると、そういった資料等々が届いていない。あるいは学校も校長先生のお手元に届いても現場には届かない。では、現場がいいのかと思っても、現場も先ほどから出ている先生たちの意識等々によってばらつきがあって、ほとんどそれが伝わらないというような現状で、最終的には「一企業がやるとねえ……」という言葉が出てくるということにぶつかりました。
 その中でも、ずうっと続けてネットワークを組んできました幾つかのNGOの方たちからご支援をいただいて、ようやくスウェーデンは 750名の応募をいただきました。応募させていただいたのは作文なんですけれども、これが応募作文集です。ぜひ、お時間があるときに目を通していただきたいんですけれども、49名、優秀作品として選ばせていただいたもので、皆、すばらしいものです。
 そこからスウェーデンには約丸々1週間の旅をしていただく予定でしたので、お母様、ご両親等々のご許可も必要ということで、慎重には慎重を重ねまして、面接等々もいたしましたし、事前にスウェーデンに行き、スウェーデンの現地でお手伝いをしてくださる方も探すために、そういった活動もいたしました。

 そこで我々が感じたのは、日本の行政とスウェーデンの対応の違いということでございました。スウェーデンの学校は、我々が一体どういう企業なのか、また我々のこの活動が初めてであるにもかかわらず、すばらしいことだったら、いつでも協力するよという対応をしていただきまして、実際に日本から行った子供たちは、2つの学校で一緒に授業を受け、一緒に給食を食べ、一緒に遊んで帰ってきました。そこで向こうの学校の先生に、それ以外の課外授業でもいろいろなアドバイスをいただきました。
 そういった意味からしましても、なかなかこれは国民性なのか、本当に自主的なつながりが、どういうふうにすれば日本でもできるのかということを、ひとつは考えさせられました。
 戻ってまいりまして、スウェーデンに行ったことに意味があるのではなくて、先ほど申し上げましたように、そこから得たことを、どうやって一人一人に広げていくのかということに私たちは目的を持ちましたので、エコ・ニコサミットという形で、北海道、東京、関西、九州でこの報告会を、スウェーデンに行った子供たちと地域の子供たちと一緒にいろいろなことを話し合いながら、一歩、行動に起こそうよというサミットを開催するということに進みました。
 ここでもまた、大きな産みの苦しみを味わいました。参加してくださるエコクラブの方は、本当に探すことが難しかった。これもまた学校それぞれに、本当に人的ネットワークでしか動かないという状況がございました。最終的には東京、10月12日、国連大学をお借りしてコエ・ニコサミットで行動計画もでき、結果的には、本当に子供たちの積極的な、非常に前向きな意思が確認できた会議体で、これをまた全国に広げていこうと思っているわけですけれども、進めていくに当たってのいろいろな壁、障害、こういったものは、エコ・ニコ学習会を始めた1997年から、ほとんど変わっていないんだなということを実感させられた今回の取り組みでございました。
 実は、そこの中で、我々を号泣させるほど感動させたのが、お手元にお届けしました「スマイル」というCDでございます。これは、この親善大使として参加してくださった小学校5年生のお子さんのご両親が、たまたまミュージシャンでいらっしゃって、我々の活動、こんなに労力をかけて、こんなにエネルギーを使って、「一体何になるの?」というふうに率直に聞かれまして、我々の取り組みを一生懸命ご説明をしたら、私たちにできること、私たちはミュージシャンだから、できることは歌をつくることしかないということで、全くのボランティアで、我々のこのエコ・ニコ学習会のテーマソングをつくってくれました。それが「スマイル」という曲で、私は、毎朝、この曲を聞いて、背中を押されてつらい仕事に出勤しているわけなんですけれども、もう1曲、ここに入っておりますのが、その親善大使になった5年生の男の子が、スウェーデンの記憶、その感動を作詞作曲をして自分が歌ったものを、「レポートを出せ」と言ったものですから、歌にしてレポートを出してきたものです。これも2曲、CDにいたしまして、参加してくれた子供たち、それからエコ・ニコサミットでは大合唱しているという状況でございます。
 そういった意味では、参加していただいたご両親を通じながら、少しずつ少しずつ広げていっているわけですけれども、もちろん、それも大切なことですし、感動をすることですが、我々のこのエコ・ニコ学習会、企業の学習会の意味は、その企業がやることによって、そこの従業員の環境教育にもなるということなんです。それを我々は、店舗で学習会、どこの店舗も、いつでも年中無休で受けつけているという状況ですけれども、そこの副次的効果は従業員の意識がひとつは変わる。従業員の意識は市民ですから、市民の意識が変わっていくということに、非常に大きな意味があるというふうに思っております。


 そして、私たちがここで一つ一つ、今、いらっしゃるような地域に根差した活動をしていらっしゃる方と、どうネットワークをとればいいのかな。実はこの活動をやりながら全くわからなかたった。どこへ伺っても本当にわからなかったんですね。今の状況は、私の今までの経験の中でのつながりで、いろいろご指導いただいたり、ご協力いただいたりした結果なんです。


 そして、今回の戦略提案を見せていただいて、いろいろな方たちが、すばらしいけれども危惧があるよ、というご意見だったと思いますけれども、私も全く同様でございまして、1つは人材のところでございます。ここは、かつて私どもがエコ・ニコ学習会をやる中で、まだまだ各店すべての店舗で実施ができない。それは、そのレベルに達していない従業員、これが毎年、毎年、環境教育をすることによって、今、従業員がみずからできるようになりましたけれども、それまでは、今の制度の中の環境カウンセラーの方たちにお願いしたことがございました。そこでのトラブルが余りにも、非常に次元の少し低い話なので、ここでご紹介することもあれなので避けますけれども、そういう意味では、本当に向き不向きがある。定性的な言い方で恐縮ですけれども、そういった資格要件みたいなもの、そういったものをどういうふうにとらえていくのかなということが、1つは、従来の、ここに既にある制度の活用を一方でするということになる場合には危惧がございます。


 それから、先ほど申し上げましたけれども、拠点としての自治体の役割は、今のエコクラブですとか、そういったことは、先ほど申し上げましたように、一体どこが本当にそれぞれの自治体、もちろん自治体独自の中での窓口は、それぞれの方たちが決められるんでしょうけれども、それはどこにアクセスすればいいのかということが、我々、アクセスする側からは見えないということを、どう解消できるのかなというふうに思っております。

 全体的なところにつきましては、私は、やはり何でもそうだと思うんですけれども、こういった仕組みをつくることまではできる。ですけれども、この仕組みを動かしていく、仕組みには必ずひずみが、また起きるわけですから、その仕組みを動かしてみて、ひずみをどういうふうに報告を受け、改善をしていく、またその改善のアクセスをしていく仕組みが、また必要というものを、この中ではちょっと見ることができなかった。そういったものをどういうふうにしていくのかなといういうことが、一番大きな私の懸念でございます。
 もう一つは、地域における協働の促進の中の合議体というんでしょうか、このイメージが、いま一つよく具体的にはわからなかったということが、もう一つの懸念でございます。
 以上でございます。

 

○森嶌部会長 小林さん、どうもありがとうございました。
 それでは、引き続いて、品川さん、お願いいたします。

 

品川様 日本生活協同組合連合会の品川と申します。生活協同組合の活動についてお聞きいただく機会をつくっていただきましてありがとうございます。
 資料としては2枚ほどのペーパーを綴じたレジュメと、それから、生協の「環境レポート2002」という冊子と、2つお配りさせていただきました。「環境レポート2002」と申しますのは、全国の生協での昨年2001年の1年間の各種環境活動のまとめを整理しまして発表をしている、そういうレポートでございます。


 環境の活動の中身に入ります前に、生活協同組合について、若干のご紹介をさせていただこうと思います。生協自体は、地域での活動をしている生協だけでなく、大学の生協、医療生協、職場にある生協ですとか、そういう生活協同組合の一切合財を合計しますと、全国で 2,100万人ほどの方々が組合員メンバーということでご加入いただいておりまして、小売事業としては全国で3兆円ぐらいの事業をご利用いただいている、そんな存在です。
 そんな意味では、生協の組織の性格というのは、一面でいいますと、事業体でございますが、もう一面では地域の市民なり、消費者の方々が集まっている人々の集合体、組織体という、そういう2つの面を持っておりまして、地域環境力創造戦略と言われる場合も、さまざまな主体者、事業者だったり、市民だったり、そういう2つの面を持ちながら、生協としての関心を持ち、活動している、そんなことでございます。

 環境の活動として具体的にどんなことをしているかというのは、パンフレットを見ながらご紹介させていただきますが、特にそういう中で、現在、重点にし、かつ大変重いテーマということで、2つ重点にしていますのは、1つは事業体として環境マネジメントを推進しているわけですけれども、後ほど述べますような事情で、事業から排出する温室効果ガスの削減に、実績が出ないということがあります。それから市民の活動ということで環境税とか、炭素税という問題について学習理解を広げようということで、学習会を全国で広く進めている。そんな2つの重点でやっております。
 炭素税の問題というのは、税金というものに対する消費者のアレルギーが非常に強くて、「話としてはわかるけれども、しかし……」というのが必ずついてまわるということでして、理解をどう広げていくかということを重点にしているということでございます。

 「環境レポート2002」を見ていただきながら、どんなことをやっているかをご紹介をさせていただこうと思います。

それぞれ暮らしの見直し活動というふうに大ぐくりにしまして、住民活動、市民活動としてどんなことをやっているか、自然観察会、環境測定活動、エコクラブ、エコファミリーという手法を生協でつくりまして、お子さんを含めて家族全体で、それぞれの家庭における環境問題を記録し、まとめていく、そんな取り組みを広げたり、さまざまなことをやっています。
 

環境測定活動は、全国で3万弱ほどのポイントで大気を定期的に見たり、雨を見たり、河川をウォッチングしたり、そんな活動をやっているということです。これは何か測定をして、その数値がどうかということよりも、こうしたことを通じて、多くの人々が環境に関心を持ち続ける、そういう状態を形成していくということに意味があろうということでやっているということです。
 先ほど申しました事業を営んでいるということと、住民の参加する人々の集合体であるという、その接点のようなところで、マイバッグ運動、お店のレジ袋の削減というのに何年間か、大変労力も割いて取り組んでおります。
 そんな中ではレジ袋の削減方式というのはいろいろあるんですけれども、もっとも効果的には、レジ袋そのものを有料化して、レジ袋が必要な方からは5円募金をいただいて、ご利用いただく。そうでない方には自分の袋をお持ちいただくという方式を取り入れている生協が、非常に多くなってきておりまして、そういう有料化方式に取り組んでいる生協では、それ以前のレジ袋の使用量との関係でいいますと、75%ぐらい削減、3割を割る4分の1ぐらいのレジ袋の使用になっているという実績も出しているということです。
 レジ袋の使用を削減するということは、それ自体が石油の使用削減ということですし、ごみ処理費用の削減にもつながるということですが、ある意味では、それ以上に消費者の意識を、そのことを通じて広く環境の問題に関心を持つ、そういう状態にしていくことに意味があろうかと思いながら進めているということです。この場合も、地域の住民の方々からは、生協のお店というのは変なお店だ、レジ袋もくれない、「ケチな」お店と、そういう評判になるという悩みも抱えながら、やっているということであります。


 それから、私どものプライベートブランドの商品の中で、環境に配慮した商品ということでの商品群を開発し、普及しております。全体の比重の中でいうと、普及は大変ですけれども、昨年の実績でいうと、日本生協連から供給しているのだけで 102億円ぐらいの利用をいただく。それぞれ会員生協ごとにも、こうした環境商品というのを開発し、普及しておりますので、そんなものを含めると、トータル 200億円ぐらいの商品の利用を全国でいただいているか、そんな関係になっています。


 それから、消費者の暮らしと事業との接点のようなところで、容器のリサイクル活動、特に牛乳パックを中心にした飲料の紙パックですとか、ペットボトルですとか、食品のトレーですとか、そうしたもののリサイクル活動をやっております。例えば飲料の紙パックでいいますと、日本全体でのリサイクルに回っているものが29%ぐらいという推計数字が出ているようですが、生協で販売している紙パックのうちの68%ぐらい、7割ぐらいが回収されてきているということです。かなり多くの方々の参加する取り組みを進めているということです。ペットボトルなども、日本全体でいうと4割ぐらいの回収かということですけれども、生協では5割ぐらいの回収でやっているということです。
 そんなことではあるんですけれども、今はどこのスーパーマーケットでも、店頭にリサイクルボックスを置いて回収しているんですが、世の中の水準よりもかなり多くの量を回収するということになりますと、1日のうちに何度も回収したリサイクルボックスの中身を裏に運んで、店頭をきれいにしておかなければいけないという作業ができますし、それ自体をリサイクルのセンターに配送しなければならないという、配送コストがかかるということでして、こういう状態を続けていること自体が、これまた事業を営むということからいうと、大変労力もかけながらやっているというようなことがあるわけです。


 そんな点でいいますと、例えば先ほどのレジ袋の削減ですとか、容器のリサイクルとか、それぞれ事業体での努力が、それぞれ地域の世論として、評価をされる、励まされる、そういうような仕組みが、単に金銭的な問題でなしに、地域の各種戦略の中では考える必要のあるテーマなのではなかろうかというふうに思っています。
 お店なり、それから生協特有の無店舗で商品を配達する仕組みがあって、それらを中心にして温暖化防止対策というのを取り組んでいるんですけれども、現在、1997年から、それぞれの事業を通じて排出しているCO2の量を実績数値として出す作業を、全国の9つの生協がやっています。9つといいましても、これは大手上位10の生協のうちの9つですから、大規模の生協のところでカウントしてみるわけですけれども、97年と比べて2001年、全体として8%の増加というのが実態であります。この間、不況等もあって、この9つの生協の年間の供給高は、この4年間を通じてほとんど伸びていないという中で、CO2の排出量は8%増加するというような関係です。お店の営業時間を延長すれば、当然、電気の使用料はふえる。それから、昨今ですから品質管理ということはこれまでにも増して重要なテーマになってくる関係で、温度管理を強める必要がある。従来、卵というのは常温で流通ということですけれども、冷蔵管理の方向になってくれば、それだけで電気の使用料がふえるということでありまして、そんな点では、CO2の増加をいかに削減していくのかということが、新しい技術の導入等を含めて、お店でも、車両でも大きいテーマになっているということでございます。
 その他、各種情報提供とか、環境マネージメント等の取り組み状況というふうなことでご紹介させていただいております。


 生協自体の取り組みはそんなことですけれども、地域環境力創造戦略を策定していくということであれば、ぜひ、それがそれぞれの主体の活動を励まし、それから連携促進し、少しでも実効のあるものになってほしいと期待をしたいと思うものです。
 事業者としての取り組みの中から、ということで言っておりますのは、先ほど、若干触れさせていただいたようなことであります。


 それから、消費者市民としての各種環境活動は、それぞれ生協の中だけで取り組んでいくということに、全体としてはなりがちということがあって、同じような取り組みが地域に各種存在するわけですから、そうしたものの連携コーディネーター機能というようなことが大切だというのは、この戦略の中でも触れられているとおりだと思います。

 

 こうした活動を促進していく上では、やはり活動拠点を整備する、それからNPOを育てるというようなことがあると思いますけれども、先ほど、どなたからか「金が出ると必ず口がついてくる」というご発言もあったようでございますが、この種、環境の地域戦略という場合に、行政で資金を確保しながら、思い切って、その運用をNPOに委ねるなり、各種の啓蒙キャンペーンだとか、イベントが単発で行われたりするわけですけれども、それを丸ごとNPOに委託をして、それで運営をしてもらうとか、そういう手法を大胆に取り入れていくということも必要ではないかと思います。

「環境創造リーグ」なんて新しい言葉も使われているようでございますが、その環境創造リーグの考え方そのもの、あるいは枠組み、それから各地域ごとに進むでしょうから、各地域での組織体の形成そのものを、条件は行政の方で調えるということかもしれませんが、この形成の出発点から、NPO市民組織に委ね切ってしまうというようなことをしながら、こうした試みにもチャレンジするということも必要なのではないだろうかと思ったりする次第です。
 生協の活動の紹介が中心になったように思いますが、レポートさせていただきました。

 

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 皆さん、大変、我々にとって考えさせられる問題提起がありました。
 ところで、会議を始めて2時間10分になりますが、あと50分ですので、私としては、このまま、休みをとらずに継続をしたいと思いますが、お見かけしたところ適宜必要なことはやっておられるようですので、このまま続けてもよろしゅうございましょうか。
 それでは、ただいまご意見をいただきました3人の方に対して、質疑等をお願いをいたします。どうぞ、どなたからでも。

 

○筑紫委員 生活協同組合の品川さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどから申し上げておりますように、私は金融の出身でございます。そして生活協同組合さんが、金融の分野における、非常に先駆的な環境を守るというような試みのために、金融の方に生活協同組合が入ってきたということが、イギリスなり、スイスなり、ヨーロッパなりの環境運動というのを非常に前進させたということから、ただ、端的にお伺いいたしますが、例えばスイスの生活協同組合のミグロスというのがあります。ミグロスは自前で銀行をつくりました。そして、今はスイスで第5位とか、それぐらいの銀行になっておりまして、その銀行の融資とか、投資とかというときに、環境に優しい企業に優先的に融資をしていくとか、人権とかそういったものに配慮した企業でなければ融資をしない、というようなことを始めまして、結局、企業がそういう方向に動いていくために大きな貢献をしまして、イギリスの生活協同組合も自分たちでお金を出し合って、協同組合銀行というのをつくりました。そちらが、イギリスの3位、4位の有力な銀行なんですが、品川さんのところは銀行をおつくりになるお気持ちはおありでしょうか。私の質問はこれです。

 

○品川様 幸か不幸か日本の生活協同組合の法律では、金融事業をやってはいけないというふうになっておりまして、例えば農協さんは金融事業をやっていらっしゃるわけですけれども、生活協同組合法だけはそういう枠組みになっているものですから、金融事業はできないということです。

 

○筑紫委員 ありがとうございました。

 

○横山委員 小林さんに2点ほどお尋ねしたいと思います。1点は環境カウンセラーにお願いをして、次元が低いトラブルがあったということですが、次元が低くても結構ですので、2点ぐらいちょっと例を挙げていただけますか。
 それから、企業がやることによって従業員の環境教育にもつながるということですが、現実に効果が上がったと思われているか、やっても意図したことはなかなか実現していないのか、それをお願いします。

 

○小林様 環境カウンセラーさんにお願いをした次元が低いと言ってしまうとあれなんですけれども、まず1つは、企業にかかわっていてリタイアされたりとか、そういった方がたまたま我々がお願いをしてご紹介を受けた方でございまして、店舗のエコ・ニコ学習会、その当時、先ほども申し上げましたように、まだ従業員が習熟しておりませんでしたので、その指導に当っていただきましたけれども、やはり企業のときの要職にあられた方が、たまたま多かったようで、そのときにお持ちになっていらっしゃる状況が、なかなか抜け切れなくて、非常に高圧的で、子供の学習には全く不向きだったということが、実際に現場から上がってきました。もちろん、この趣旨を十分にお話しをしてやっていただいて、大丈夫ということだったんですけれども、残念ながら不評でございました。
 もう1点は、その中でも一生懸命やってくださった方、先ほどから多少なりともお金の話が出ているわけなんですけれども、我々は一企業でございますので、わずかながらでも、もちろん交通費と、その時間を拘束するものですから、多少なりともお礼を申し上げたいということで、きちっとではないかもしれないんですけれども、謝金を用意をいたしました。
 それに対して、環境カウンセラーさんの中で、絶対に受け取らないとおっしゃった方がいらして、「私はこれを生きがいにしてやっているので、受け取れないんだ」とおっしゃっていただいた方がいて、我々はそれにかわるお礼ということで品物を提供したんですけれども、それがたまたまほかの方の耳に、どうも何かのあれで入ってしまったらしくて、そのカウンセラーさん同士のトラブルになってしまいまして、「1人だけいいカッコするな」というような、本当に次元が低い話で、本当に言いたくなかったんですけれども、そういったようなことがございまして、その辞退された方から、「私は本当に一生懸命こういった活動をしていらっしゃる企業を応援したいと思って協力をしているのにもかかわらず、なぜ、ほかの地域の環境カウンセラーから、こんな罵倒されなければいけないのだ」と私どもに訴えられて、私どもも間に入って本当に困ったということがありまして、それ以来は一切お願いをしておりません。
 そういったことが、非常に次元が低い話で恐縮ですけれども、ございました。やはり、向き不向きがあるのかなというふうに実感したわけです。
 もう一つ、従業員でございますけれども、当初は我々は本当にスーパーの人がいない中でお店を回しているものですから、地域の学校あるいは申し入れをいただいたそれぞれのネットワークで団体の方等々がお見えになるわけなんですけれども、それに割かれる時間が、店舗の後方施設から全部見ていただきますと、最低でも3時間はつきっ切りでご説明をするわけなんです。これは、今の人員、非常に生産性を厳しくいわれている中では非常に厳しいんです。
 ただ、このことによって一番啓発されるのは、また一方では従業員なんです。それに対する反応が大きいのが、受けてくださるお子さんたちからのお手紙もそうなんですけれども、それ以上にお店で働いているパートタイムの方の反応なんです。皆さんパートタイムの方はお子さんがいらっしゃるお母様が多いものですから、自分のところの会社、自分のところのお店に対して物すごく誇りを持てるということで、逆にそこから、またPTAに広がったりというような形で、店長はそこから啓発されるというようなことから、今は本当に、先ほどグラフを見ていただいたと思うんですけれども、これだけ数字が伸びているのは、今、このエコ・ニコ学習会だけが、我々が、お金は余りかけれらないんですけれども、汗を流して喜んでいただける活動として、これだけは守っていこうという気運になっているということは、従業員の啓発に大きくなっていると思います。
 ただ、教えるということの上手下手は、やはり店舗によって差がありまして、非常に上手にゲームも入れながらやれる店舗と、杓子定規にやる店舗もまだまだあって、そこは過渡期だと思っていますけれども、幾つかツールも用意したり、今回のCDはお店で活用をしてもらおうと思っていますけれども、そういった意味では、今現在、社員、従業員啓発には大いになっているというふうには思っております。よろしいでしょうか。

 

○天野委員 西友の小林さんの話、大変感心して聞いていたんです。

これは前半のお話でも出てきたことですけれども、こういう産みの苦しみというふうに、よくおっしゃるんですが、初めてのことをやるときに、いろいろな苦労にぶつかるわけですね。それを一つ一つ超えながら成果が出ていく。ですから、最後のところの成果というのは、こういう書きものには、よく書けるんですけれども、先ほど、こういうことが書いてあるけれども、本当に動くのかとおっしゃったのは、そこへ行くプロセスが非常に難しい話がいっぱいあるわけですね。それがよく書けていない。これは失礼ですけれども、きょう、いただいたレジュメも、それが余り出ていない。お話にはよく出てくるわけです。しかし、書いてあることは、最後に出てきたことだけで、初めがあって終わりがあって、途中がみんな抜けてしまう。要するに、組織をつくっても、どういうふうにそれを動かしていくのか、どういうプロセスをたどっていったら、最後のところへ行き着けるのか、そのあたりを、きょうご出席の皆さんは全部苦労されてやってこられているわけですね。しかし、それをどういうふうにほかの人たちに伝えるのか。つまり自分たちが経験をしたこととか、そこから得たノウハウとか、経験とか、そういうものをほかの人たちにどういうふうに伝えるかという工夫を、どういうふうに普段からなさっていらっしゃるのか、それが私は非常に伺いたいですね。
 私、専門が経済ですから、例えば企業の方が環境のことを、どういうふうにやろうかというときに、まず集めるのが、成功した事例をいっぱい探してきて、その人たちがどういうふうなことをやったかというのを逐一調べていくわけです。そういうことが非常な大事であって、特にこういう初めてのことをやろうとか、今、日本に存在していないような組織をつくろうというときには、そういうノウハウをいっぱい広めることが、とても大事だと思うんです。きょういらっしゃった方の中には、そういうことをいっぱいお持ちの方がいらっしゃるわけですから、ぜひ、そういうのを、ほかにわかりやすい形で、どう伝えればいいか、それを、例えばきょうの環境省の方々にどういうふうに説明すればわかってもらえるか、あるいは自治体の方に、どういうふうにしてもらうかということが大切だと思んです。
 先ほど来、いろいろお金を出すけれども口を出すという話が出てきますけれども、お金を出しているのが口を出すのは当然だというご意見もあります。私はそれは賛成ですが、それはそのお金を出す目的がきちっとできているかどうかについて、口を出すのは当然です。
 しかし、日本の場合、ほかの国でもそうですけれども、途中のプロセスにものすごく口を出すわけです。お金を渡したら、どういう使い方をしなさい。あれを買ってはいけない。これを買ってはいけない。そういうプロセスに対して口を出すのは、僕はやめた方がいいと思うんです。ですから、お金をぽんと出して、使うのはそれぞれプロセスは、銘々が考えるべきことですから、最後の成果が出るかどうかについて責任を持ってもらうというところで口を出すのはいいんですけれども、その辺は、国にしても、自治体にしても、もう少し考えていただきたいなと。あるいは、そういうことを実際にお金を受け取られる方もやかましく言っていただくのがいいんじゃないかというのが私の考えですが、その辺、さっきの経験とかノウハウと一緒に、ほかの人たちにどういうふうに伝えていかれているのか、あるいはこれからそういうことを伝えようとされているのか、その辺、もし何かご意見があったらお伺いできたら、非常に参考になるというふうに思います。

 

○森嶌部会長 これは小林さんにというよりも、あるいは全員にということかもしれませんが、とりあえず小林さんに伺われたので小林さん、お願いします。その後、小松さん、お願いします。

 

○小林様 まず、自分のところの事業、会社、企業の中で伝えていかなければいけないというふうに思っていますので、我々の経営会議、それから我々、専門家の方を入れたグリーボードというボードをつくっておりますので、そこでこの報告をして、これについては、ほとんど予算のなかったものを勝ち得るためにも、この価値を訴えなければいけなかったものですから、そういう意味では、まず事業所内で熱弁を奮わなければいけない。
 もう一つは、本当は一番聞いてほしかった、いわゆるメディアの方たちに、広告ではなくて、募集をしてほしかったんです。こういうところに参加してほしい、という広告費がないものですから、せめてこういうことをやるよという記事を「1行でいいから書いて」といって書いてくれたのは1紙しかありませんでした。それも、その1行でも効果があるんですよ。そうだとすると、別に西友がどうしてこうしてと書いてくれなくていいから、ここでこういうことをやるよということを「書いて」と、苦労をいっぱい言ったんですけれど、「企業だからねえ、難しいねえ」と言われてしまった。
 ですから、こういう場は、我々にとっては、皆さん、そうだと思いますけれども、非常にありがたい場でして、私は、いろんな場で、少しでもお話しができる機会があったときには、お話しはさせていただいておりますけれども、本当に15分、あるいは決められた中で、お話しをすると、結局、結論ということになってしまいますので、そこの中のプロセスは、かなり省いております。環境省さんは、かなり今回はイレギュラーな中でご支援もいただいたんですけれども、その他の省の方は、いっぱいいろいろ歩きましたけれども無理だったりとか、言いたいことはいっぱい山ほどあるわけですけれども、やはり、それを全部伝え切るというのは、紙にすることも難しいですし、伝えることの難しさを、おっしゃるように痛感しておりますし、反省するべきところも多々あるというふうに思っております。

 

○森嶌部会長 どうぞ、小松さん。

 

○小松様 私は、グラウンドワーク三島の場合、行政、三島市から補助金を 200万円、最初からいただいております。最初、3年くらいだよと言われたんですが、10年たってもいまだに変わりません。その間、市長さんは3人変わっております。行政の担当者というのも、窓口の名前は市長さんが変わられるごとに組織が多少変わってますが、スタッフ会議には企業の方も出ますし、行政の方も出て発言もしています。ですけれど、お金を出しているから口を出すかというと、そういうことはありません。どのように使っても、私たちを信頼してくださっているというが、3年で終わるはずのものが、いまだに続いているということは、信頼に育っていると思います。
 それから、子供さんたちを西友の皆さん、スウェーデンに派遣されたようで、とてもいいことだったなと思います。私も静岡県で女性を海外に派遣して、地域活動への参加の仕方というのを学ぶというイベントがありまして、私が参加させていただいたのは18年前ですけれど、欧米5カ国、23日間で回らせていただいたんですが、帰ってきて一番感じたのは、もう本当に感動して、だれにお礼を言ったらいいのか、県民のだれに言ったらいいのかというのが1つありましたけれど、ありがとうの言葉より、私の何かできることということで、グローバル文化交流協会という会を立ち上げました。
 そのゼロからのスタートのときに、一番大変だったんですけれど、今もつながっていることは、メンバーが仕事を分けてほしいということでした。私は私なりのイメージがありましたけれど、最後は1人でやるにしても、みんなが結局はやりたがっているなというのが、とてもよくわかりましたので、1人でやってしまえることも10人、20人に分けるように心がけています。
 それで、グラウンドワーク三島には最初の8団体の1つとして参加して、今もそうなんですけれど、それぞれの団体がそれぞれの特徴があります。20団体で「合計何人ですか」とよく視察の方に聞かれるんですが、一堂に会して何名です、ということじゃなくて、環境というところで横並び、横つながりになっていて、それぞれがまた独自にフリーの、その会なりの活動もしておりまして、余り締めつけというんですか決まりがはっきりしないファジーのところが、楽しくて長続きするのじゃないかと思っています。

 もう一つ、パートナーシップということで、行政と市民と企業という3つが、とかくけんかになりがちな、歴史をひもときますと、そういうことが多いんですけれど、先にみんなで知恵を出して、何かおもしろいことというので、「右手にスコップ、左手に缶ビール」などと称しまして一緒に汗を流して、そして話をして、また次に何をやろうというふうになっておりますので、楽しいことを企画するというのが、まずは1つ、長続きをする秘訣かなと思います。


 そして、先ほど小林さん、おっしゃったようにマスメディアというんでしょうか、そういうマスコミの皆さんの力というのは、大変市民にとってはありがたいことで、私たちはささやかなことでも、とにかく来ていただくように、取材、事業の前のPR、それからやっているときの取材というのは長くおつき合いをして、知り合いになって続けています。大変たくさんの取材を受ておりまして、ありがたいことだなと思っています。
 「A smart lady goes shopping with her own bag.」−−さっそうと持参の袋でお買い物」という、先ほどのバイリンガル環境カルタにも、もう大分前に、そんな一文もつくっておりまして、そういうものをいろいろな主婦が口にするようになって、私たちの街も、生協さんもありますけれど、買い物袋を持って買い物に行く主婦が大変ふえました。少しずつでも言い続けることが大事だと思っています。

 

○森嶌部会長 妙な言い方がありますけれども、今のと関連して、南さんに伺いたいんですけれども、先ほどから行政はなかなかうるさいことを言って、途中でも言うというんですが、三重県では21世紀環境創造事業で基金をおつくりになって、それの運営に県民会議も参加しているということですけれども、そういう仕組みですと、少しうるさいじゃないか、一々口出しをするじゃないかというような話はなくて済んでいますか。

 

○南様 いえ、実は、県民会議の方に2つ委員会がございまして、企画委員会というのは自分たちの事業を考えたり、あるいは助成の制度をつくったりということをやっておりまして、もう一つの基金審査委員会という方が、実際の活動に対して申請が上がってきたものを審査して助成をしているわけなんですが、実は、私の立場上、1年ぐらい企画委員会の方におりまして、今の審査委員会の方へ移って一緒に審査をさせていただいているんですけれども、審査してみえる方は、結局は私どもから見ても、かなり厳しい規準で審査をされるということがございますのと、それから、ちょっと発言のところでも申し上げましたけれども、これが環境にいいこと悪いことの判断というのが、やはり難しいところがございまして、一般の方々がやられるというのは、非常に自分たちの思いでやられますから、一番問題になっているのは、環境美化行動みたいな、園芸種を植えるようなとろに本当に助成していいの? みたいなところがあって、それが、ある意味で審査委員が、どの程度、どういうところへ助成をしていけばいいのか、これは助成しない方がいいのかした方がいいのかという判断は、行政がやってもNPOの人たち、あるいは学者の人たちが入っても非常に難しいところがございます。
 ただ、それは、今やっていますのは実験的にやっていますので、私も9人の委員の中の一委員として9分の1の意見を言わせていただいていますので、かなり不本意な結果になったりすることはあるんですが、それはそれで実験ですので、この3年、4年ぐらいを見て、今、県民会議のメンバーの方々が自分たちの活動を評価して、今年度1回、外部のNPOにも自分たちの評価をしてもらっているというのが、今年度に出てきますので、一度それを見て、再度、次のチャレンジをというふうに思っております。

 

○廣野専門委員 三重県の南さんの方へ質問なんですが、それは、大体ここに書いてあります緑のNPO活動支援センターとか、あるいは三重県環境保全事業団とか、三重の21世紀環境創造事業という、そういう格好で、言ってみれば行政のトップ、北川さんが非常にリーダーシップを持ってやっているというのが非常によく見えてくるんですが、1つお聞きしたいのは、そういうことをやるときに、県民の代表である県会に対するどういう働きかけをやっているのか。単に予算をとるために云々というだけじゃなくて、こういうコンセプト、こういうものを示唆していく、そういう中で、どの程度、県民の代表である県会との何らかの接点を持ってやっているか、そこが非常に知りたいんです。
 なぜかというと、日本の社会の中では、かつて企業と政府が癒着をするということがあって、いわゆる産官癒着の問題とかいろいろ議論されましたけれども、今度、だんだんNPOがどんどん大きくなってまりいますと、行政とNPOの癒着という問題が出てくると思うんです。これは非常に危険なことであって、そういう意味で、我々はNPO自身、NPOはもちろん目的主張を大いにサポートするんですけれども、行政とNPOが変な格好で癒着をしてしまいますと、これまた私は県民の利益から考えると好ましくない。そういう意味では、県民の代表である県会、市民の代表である市会、そういうもの、立法府と行政府がどういう格好で、そこまでうまく連携しながら、市民そのものである市民ソサエティといいますか、そういうもの、あるいはまた、その中に人が寄っているところのNGOとの事業を考えているのか、そこらあたりをぜひ、実際今までやってきたことを、ぜひお聞きしたいんです。

 

○南様 議会の方には、特別に条例をつくったりということをしておりませんので、ただ、この3億円を出すというときには、非常にかなり大きい額でございますし、それからある意味、先ほどから出ておりますように、基本的には県が口を挟まない、民間の方々でその3億円を運用してもらうということでありましたので、非常に大変長い議論をして、平成11年に2回の公開討論会を含めて18回の検討会を開いておりますが、そういうことで、そういう検討会の状況をインターネットなどを使ったり、あるいは公の場でやるということで情報公開をやっていくということでございまして、特に県議会へ向けて特別の根回しをするとか、そういうことはございません。基本は、要するに、公開の場で透明性を持たせている。ですから、今回の助成事業の内容とか、あるいは助成事業の募集についても、プレゼンテーションを公でやるとか、あるいは苦情が来たものも、どういう苦情が来たというのをインターネットで公開をしていく。ですから、癒着については、そういうことで、すべてを公開していくということで対応する。
 特に、議会との関係で、この県民運動で根回しをしたとか、クレームが来たとかいうことはございません。

 

○武田委員 先ほどからの西友さんのいろいろな活動を大変感心して拝見しているんですけれども、この中で、企業の環境活動を取り巻く壁というページがございまして、先ほどもメディアのお話がございましたけれども、メディアにしろ、行政にしろ、一営利企業の宣伝に使われてはいかんという、脅迫観念のようなものが非常に強いのが現実だと思うんです。営利と関係ないことをやろうと思ってもなかなか協力してもらえないというのは、かなり現実的に大きな問題だと思います。


 この辺の基準を、どういうふうに、だれがつくるのかというのは非常に難しいわけでございますが、私は役所の方に伺いたいんですが、役所というのは、ここには環境省しかいらっしゃらないので、環境省の方にお答えいただけるのならお答えいただきたいんですが、例えば、非営利法人でも営利事業をやれば税金を取るよと、これはちゃんと基準があるわけです。だから、逆に言えば営利法人でも非営利事業をやるのであれば、きちんと基準をつくってあげて、みんなが協力できる体制をつくるというようなことをやれないものかと思うわけです。余り言ってはあれですが、役所の場合、いろいろやりにくい点もあると思うんですが、なかなか動いていただけない。やらないことで、責任がなかなか追及されないという状況があるわけです。しかし、最近は不作為の罪というのもいろいろ裁判でも言われておりますので、やらなければいけない、やらないことはいいことではない、ということもあるわけです。
 例が適切ではないかもしれませんが、最近、東電の、ああいう非常に大きな問題になっておりますが、私が側聞する限りにおいては、ああいうひび割れの問題というのは、随分前からわかっておって、アメリカでは、この程度の傷なら原発をとめなくてもいいという基準がはっきりしている。そういう要望を、当然東電はされておったやに聞いておりますが、やはりそのリスクをとるのが怖い。オーケーと言って、何かあったら大変だということもあって、なかなかちょっとの傷でも全部とめろというのは、安全ではいいんですが、現実にはワークしない話なんですね。現実に、最近聞くと、あの程度の傷は、ほとんどアメリカ基準でいくと問題ないというようなことも聞いておるんですが、例が正しいかどうかわかりませんが、やはりリスクをとるというか、本当に公平な基準をリスクをとってつくってあげる、みんな現実の生活で動きやすくしてあげるということは非常に大事なことではないかと私は思うのでございますけれども、この辺について、現実的にどういうことができるのか、できないのか、もしお答えいただけるのであれば、お願い申し上げたいと思います。

 

○森嶌部会長 これは個別の、例えば東電の問題とか、営利事業における非営利事業の税金を免税とか、そういう個別の問題ではなくて、不作為についての……

 

○小林審議官 私自身、いつも考えているんですけれども、企業の活動で、私ども社会的な存在として考える場合、2つの側面で考えいかなければいけないんじゃないかなというふうに、常に考えています。1つは、本来、企業活動で、基本的というのは本来利潤を目的にしますから、利潤活動としての企業、その利潤活動自身が社会の規律に合っている、また社会に貢献をしていくというような側面と、それから、だんだん現在の近代社会になりますと、企業自身が大きな社会的な存在になってきていますから、その企業本来の活動である社会的な存在としての社会貢献という分野が、より強くなってきたんじゃないのかなというふうに思います。
 きょう、小林さんからお話しいただいた西友の活動というのは、むしろ後者の活動だろうというふうに思っております。そういう後者の活動が、私ども行政のシステムの中で、余りとらえてこなかったんじゃないのかなというふうに思っています。
 ですから、今回の環境保全活動において、あえて企業の方々からもお話を伺ったのは、むしろ、そういう企業自身の社会的存在としての、本来の利潤活動でない分野の活動というものも、しっかりと位置づけていかなければいけないというふうにも思っています。
 これが、いわば税制とか、そういうものと結びつくかというのは、まだこれからいろいろと勉強していかなければいけない側面があるのかなと思っています。

 

○炭谷総合環境政策局長 もともとは、会の皆様に、7人の方の意見を伺った上で議論をしていただきたいというふうに思っておりまして、ただ、その時間が30分程度を用意したんですが、既にあと15分ぐらいになりましたが、少なくとも私は、皆さんのおっしゃったことはまことにごもっともで、いろいろ言い方は違っていても言っておられたことは1つだと思うんです。従来のような国から地方自治体、地方自治体から市民あるいは企業というのではなくて、逆に市民や企業−−企業も市民ですけれども−−からの発想、あるいはその活動を、いわば地方自治体さらには国はもっとそうですけれども、それをサポートするためのインフラを少しでも用意をするということであって、あくまでもイニシアティブは市民であり、NGOであり、企業であるということが、基本的なご発言の趣旨だと思いますが、その意味で、私は皆さんに議論をしていただくことを封ずるつもりは全くないんですけれども、改めて皆さん7人の方がおっしゃったことについて、一つ一つこの点は戦略の中に入れるべきだということを言うまでもない、というふうに感じておりますけれども、あと15分ですが、どうぞ委員の方から意見をおっしゃってください。

 

○宮本委員 今の委員長のお話とはちょっと違うかと思いますけれども、きょう、お話を聞きまして、私は先ほどの、例えば自主性のNPOであるとか、企業の自主性の助長であるとか、それから、資金の確保という点で、私、ちょっと経験がございますので、それに関する話をしたいと思うんです。
 先ほど、萩原さんの方からマッチングシステムというお話があったと思うんです。これはどういうことかわかりませんが、私、実はうちの会社でマッチング・ギフトシステムというのをやりました。これはどういうことかというと、従業員が全く企業と関係なしに、地方の自治体、地方の人たちに貢献した場合に、要った費用を会社が同じように金を出す。10万円を限度なんですけれども、例えば小学生の野球チームであるとか、地方の文化会なんかのPRをするとか、それから環境問題に貢献するとか、そういうようなことをやったときに、要った、実際に支出した交通費であるとか、そういうものについて領収書を出せば、それに相当額を会社から出す。それをマッチング・ギフトというんですけれども、そういうことをやることによって、会社も貢献しているし、従業員が、そういうことが会社で認められたということで、非常に意義を持ってやっている。それがだんだん膨らんできて、限界をつくらないと、どんどんふえますので、10万円と、けちな話なんですが、やっておりまして、非常にいいシステムであるし、だんだん地道に動いている。また地元の人に喜ばれていると思うんです。
 先ほど、この話がございましたときに、自主性とか自発性ということで、例えばNPOさんがお使いになった金に匹敵する、またそれの何分の1かを自治体の方から、そういう金をつくって、そういうことをやっていけば、NPOさんも自発性な自主性な動き、意義を感じられるだろうし、それがまた地域全体につながっていくというふうにもなるのではないかなと、こんな感じもいたしまして、ちょっと私の経験から、そういうシステムも一遍お考えいただいたらどうかなと思いましたので、ご発言をさせていただきました。

 

○森嶌部会長 ほかに……。どうぞ。

 

○飯田委員 私、意見と申しますより、メディアの出身の一員なものですから、先ほどからの小林さんのお話とか、小松さんのお話とか、それから役所の方は一言おっしゃっているから、私も一言、弁解じゃございません、お知恵をおかししたいかなと思います。
 確かに、新聞社では政経社−−政治・経済・社会、これが主流なものですから、ここの記述がどうしても大きく扱われるんです。今の西友さんのお話だと、これは一企業のやる事業だからということで、確かに敬遠されます。それから、小松さんのお話ですと、きっと扱ってもらうとすれば、これは地方版だと思うんです。そのかわり非常に細かく出ます。これは決して広告じゃありませんから、料金なぞは当然いただきません。


 それから、本当はもっといい手があるのは無代紙です。各新聞社が無代で配っている新聞がございます。週刊か週に2回、私のところでは「リビング」といいますし、東京さんは「ショッパー」というものですが、これが読者率が高いんです。特に女性の読者率が高い。社員募集しても、どこへ行きたいかというと、「リビング」をやりたいという人がかなりおるんです。これはやっぱり女性が多いんですが、ここは、もちろん広告じゃありませんから、無代紙に載った案内は、その反響はかなり大きいと思います。これをご利用になったらいかがかと思います。西友さんなどは、ほとんど無代紙よりも経済部の人と、あるいは社会部の人と、おつき合いが多いでしょうから、そういう人に頼もうと思っても、これはそれぞれの部門別で、紙面の取り合いですから、なかなかそれは載せてくれないとは思います。
 ただ、昔、というよりも、ちょっと前のバブルのさなかは、各企業がメセナというのをやっていました。これには社会部だろうと、政治部だろうと、経済部だろうと、先を争ってメセナ事業というものを載せていました。今、事業所がほとんどメセナをやるような経済状態にないものですから、非常に停滞していますが、西友さんのようなお話でしたら、かなり私は応募者が殺到するのではないかという気がします。
 以上です。

 

○森嶌部会長 どうもありがとうございました。
 では、渡辺委員、どうぞ。

 

○渡辺委員 きょうは3時間の会合の予定で、正直、3時間はつらいなと思って出席をしてお聞きしていたんですが、いろいろなヒアリングを今まで経験しましたけれども、きょうの7人の方々のご意見、非常に強い関心を持って、なるほど、なるほどと思いながら聞かせていただきました。部会長がおっしゃったとおり、これをどう、あれをどうということは申しませんし、非常に方向としては同じ方向を向いた質の近い話だったと思いますので、改めて事務局に、きょうの7人の方のご意見を整理、分析をして、今、考えておられる案を、よりよいものに変えていただきたいと思います。
 最後に1つ、かつて私も地球環境基金を担当していた時期がございますので、そんなうるさいこと、言っていたのかな?
 しかし助成専門委員会の方が問題があるとおっしゃるから、あるいはそうかもしれませんが、何せ、あれは全国を対象に 1,000近い案件から、例えば四、五百件選ぶ。ここに無理があるのかもしれませんね。それぞれの団体の活動の実態を十分知らないままに選定せざるを得ませんから、どうしても書面審査になる。その点、県でおやりになる、あるいは市町村でおやりになるというのは、その地域の団体の活動の実態がわかっているから、そういううるさいことも言わずに、かなり信用して任せることができるのかなと思いながら聞いておりました。
 ありがとうございました。

 

○森嶌部会長 ほかにございませんでしょうか。あと5分ぐらいですけれども。
 それでは、今、渡辺委員のご発言もありましたので、事務局は、きょうの7人の方がくださったご意見、これはいずれも、この案自体が悪いというのではなくて、そこに盛られていることで、いろいろ今までの経験からいうと、将来問題が生じそうな問題があるということで、ご指摘をいただきました。これはほとんど角度は違いますけれども、全員のおっしゃったことは似た問題を指摘されたと思いますので、これは部会長として、一人一人の委員に、この点、どういうふうにサポートされますか、どうですか、ということを伺う時間がありませんでしたけれども、実は次回に、きょうの意見等も踏まえまして、事務局の方から案を用意をしてもらうということになっていますので、私の方から、事務局、ぜひ、きょうの話を十分に踏まえてつくっていただきたいと思います。
 そして、次回でありますが、11月5日であります。私ども総合政策部会もいろいろな問題を抱えておりますので、この問題については、やや部会としては消化不良のようなところがあるかなと思いますけれども、きょうのようなご意見も伺っておりますし、各委員からも、できれば、きょうのお話を聞かれた上で、事務局の方に、こういうことを入れたらよろしいというご指摘があれば、ぜひ、きょうから1週間ぐらいの間に、事務局の方にご連絡いただければと思います。できれば、書いていただいてファクスで送っていただくのが一番いいと思いますが。
 それでは、検討スケジュールについて、事務局の方からお願いいたします。

 

○浅野環境教育推進室長 それでは、お手元に資料2がございますけれども、ごらんになっていただきたいと思いますが、ただいま部会長からもお話しいただきましたとおりに、資料2の方に日付といろいろなスケジュールが書いてございまして、過去のものと、これからのものがございますけれども、本日、24日がこの部会でございます。次回は、お話がありましたとおりに、5日に中間答申案の素案をお出しするということを予定しておりましたので、そういうことで作業を進めたいと思いますので、ご出席をよろしくお願いしたいと思います。その後パブリック・コメントで正式に全国の方々からご意見をお聞きしたいということで予定しておりますが、もし、またそれ以外にもお載せいたしましたように、部会で、もちろんご審議いただいているわけでございますけれども、なるべく多くの方々からのご意見をあわせてお伺いしながら、素案をつくるなり、最終的な案まで持っていきたいということもございまして、ここに書きましたとおりに、NPOの方々も含めて、いろいろな方々、また東京以外の地方におきましても、ご意見をお伺いする機会を既に開催したところもございますし、今後もございますけれども、予定しているところでございますので、ご承知いただければと思います。
 また、こういった取り組みにつきましても、皆様方のチャンネルでご紹介いただければ大変ありがたいと思っております。
 以上でございます。

 

○森嶌部会長 今、事務局の方からお話がありましたように、次回に中間の案を取りまとめるわけですが、その間にいろいろなパブリック・コメントをかけるとか、あるいはヒアリング、公聴会というようなものを開いてかためていくというスケジュールですので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 きょうは、渡辺委員が、3時間もやり切れない、大変だとおっしゃいましたけれども、実は我々の方は、部会ですから3時間しなければならないのは当然なんですけれども、お茶、たった一杯、コーヒーがたった一杯出ただけで3時間もつき合っていただいて、有益なご意見をいただきましてありがとうございました。ご協力を感謝いたします。
 それでは、これで終わりにいたします。どうもありがとうございました。

午後16時30分閉会