■ 食品残渣のリサイクルについて (コスト試算から)
〜 食品リサイクル(生ごみ処理機)をコスト面から考える 〜
近年、様々なリサイクル問題がクローズアップされているが、ここでは食品残渣のリサイクルについて考えてみた。
平成13年5月1日に食品リサイクル法が施行され今日に至っている。
その間様々な方法で食品リサイクルの重要性がアピールされ、排出事業者等にも一定の理解が得られるようになったと思われるが、特に関西では、なかなかリサイクルが進んでいないのが現状である。
食品リサイクルの方法として期待されている発酵・堆肥化処理においては、メーカーの熱心な営業活動にもかかわらず、生ごみ発酵機等がなかなか売れないという状況がある。この原因の一つに、コスト負担の問題があるのではないかと思い、メーカーなどにヒヤリングを行い、コストを概算してみた。
以上の試算によると、コンポスト化で35円/kg、消滅化で38円/kgの費用を要することになる。
一般的なメーカー試算では、排出者側の事情に左右される土地代をコスト試算に含まず、また生ごみ発酵機等は無人で自動運転ができると謳って、人件費を試算に含まないものが多く見受けられるが、実際には設備の維持には人手が不可欠である。
概算したコストは、次のような状況を示している。
◇ 生ごみ発酵機等の処理コストがメーカー試算と比べてかなり高くつくこと
◇ 関西の公共のごみ処理手数料がこの処理コストと比べてかなり安いこと
なお、今回の試算には、人件費と、土地・建物に要する費用を一例として組み込んでいるが、現実には、必要経費はさらに高くなることが考えられる。昨年、兵庫県で完了した大型再開発事業では、コンポストコストがkgあたり70円かかるため、事業者が困惑しているとのことで、今後、自社でコンポスト化はしない、と担当者は言明している。
このように、排出事業所で生ごみ発酵機等を設置して発酵・堆肥化処理を行う場合には、かなりのコスト負担が生ずると考えられ、ごみ処理手数料が上記経費よりも安い場合は、ごみとして排出するほうがコストメリットがあることから、排出事業者にコンポスト化を敬遠させる要因となっている。
生ごみ発酵機等にはこのようなコスト面の課題に加えて、一般的な生ごみ発酵機等から排出される発酵物は、二次発酵ができていないものがほとんどで、その場合は堆肥として引き取られて再利用されるには不十分なものであるという、質の面での課題もある。
以上の状況を考慮した場合、今後、大阪府下で食品残渣のリサイクルを進めるためには、スケールメリットを生かせるような集中処理を可能にするシステムを創ることによって、食品残渣リサイクルの経済性・採算性を向上させることが不可欠であると考えられる。
(レポート) 全大阪魚蛋白事業協同組合