大阪ごみを考える通信 02' No5より


 199812日 平安神宮参道とその西側の公園のごみの山を見てしまい、それをどうにかしなければと思い続けて5年目の今年、やっと念願かなって学生さんを中心とした京都市の方たちと一緒にごみ減量の行動に移すことができました。

 
       5年間にしたこと・写真観察    

   まず、翌年1999年は元旦と3日に写真による定点観察を平安神宮と伏見稲荷でしました。

  <写真観察・平安神宮

 平安神宮は参道が広いため、歩道脇にベニヤ板で作った一畳大のごみ箱が6箇所設置され、その周りに立って食べるという風景が見られました。

  バックヤードは風でごみが散乱していました。
   <写真観察・伏見稲荷>

 伏見稲荷は参道が狭いため、各店舗座って食べるところを設けていました。
  
 きちんとした感じがして、散乱ごみは
 見受けられませんでした

    5年間にしたこと・割り箸回収                                  

次の2年間は何をしたら良いかわかりませんでしたが、2001年4月から11月まで茨木市民会館レストラン・ルネッサンスの割り箸回収を会社帰りにして86kg集めたり、10月の千里リサイクルプラザのくるくるセール(フリーマーケット)や11月の万博おまつり広場の環境フェスティバル21で割り箸を集めた経験から、2002年は割り箸回収を試みました。

   <割り箸回収・伏見稲荷>

伏見稲荷では、露店商組合長さんに申し出てから大晦日に個々のお店にお願いしました。
 

  5軒が快諾くださり、表示の紙を2枚づつお渡しして3日の昼に引き取りました。

 ラーメン屋さんはもともと残渣、PS丼、割り箸を分けて捨てておられましたので、大変協力的でした。

 広島焼屋さんは回収箱を石垣に乗せたため、箱が目線より上になり、ごみが混らず割り箸のみが入っていました。
 これにより、人の心理で、上に置けば、ごみという意識がなくなり、お返しするという気持ちになることが分かりました。

 この経験が、後に机の上に分別回収箱を置く「イベントのごみゼロ」のヒントになりました。
 ごみステーションからも回収し、合計
15kgでした。



   <割り箸回収・平安神宮> 

平安神宮はどこに許可を得たら良いか分からず、
2日に2時間だけベニヤ板のごみ箱の上に回収箱を
置いてみましたら、皆さんご協力下さいました。

 ごみ箱からも回収し
3.5kgになりました。
 
 いろいろ説明しながら回収しましたので、
これは「辻説法」なのかなと思いました。


     <割り箸回収・茨木神社>

茨木神社は元旦から5日までラーメン屋さんに箱を置き、6kgを回収したのですが、そのお店ではPS丼を洗って2度使っておられ、それならリユースの丼にしたら良いのにと思いました。

鮎の塩焼き屋さんは、串を洗って何度もリユースしていましたので、意外とリユースは近いところにありそうな気がしました。


     割り箸回収からイベントのごみゼロへ       

 割り箸回収をしながら、トレーも重ねて集めたら、こんなごみの山は出来ないのにと思いました。                 
この思いは、ごみ箱を無くし、長テーブルの上に幾つもの回収箱を並べ資源分別回収する千里リサイクルプラザ研究所の「イベントのごみゼロプロジェクト」へ発展し、20023月から11月まで、こどもたちや地域のボランティアと共に、夏や秋のお祭り20箇所で実施しました。

   
   <来年は一人でしたくない・京都の仲間づくり>

 また、平安神宮で割り箸を回収しながら、来年は一人でしたくない、出来たら、京都の学生さんと一緒にしたいと思いました。

 20026月。京エコロジーセンターのオープニングのとき、高月先生に割り箸回収の資料を見て頂き、「京都市ごみ減量推進会議」の広報担当で風呂敷研究会の森田さんの手で冊子「ごみを減らそう」に載せて頂きました。

 そして、立命館大生を中心とするエコトーン、京都大学ごみ部の学生さんたちをご紹介下さり、メールで交信しました。

   
 <えこまつりワーキンググループ>

11月、京エコロジーセンターに事務所を置く、京のアジェンダ21フォーラムに「えこまつりワーキンググループ」ができた知らせを頂きましたので参加し、初詣のごみ減量を提案しました。

  このグループは、発足以来、行政、大学の先生の参加のもと、毎月、先進事例・トレー・瓶・カップ・洗浄機搭載車と勉強会を進め、実際に行動して、その反省をし、次へのステップのために活発な会議をしています。



     計画だけに終わらせない・絶対しなければ                                           

                                                                                 
 1128 廃棄物学会の市民活動パネル展示会場に颯爽と現れた女性(後に、京都大学ごみ部を創設した浅利美鈴さんと分かりました。)が「ごみまつりで平安神宮の回収品を展示するからね」と言って消えていきました。

  その言葉に触発されて、これは、絶対に回収をしなければと思い、次の日まず、ベニヤ板のごみ箱をなくすため、ごみ箱を出しているところを探しました。

京都市の関係ありそうな部署5ヶ所くらいに聴き、結局、平安神宮から川畑警察を教えて頂き、川畑警察署関内露店商組合長さんに行き着きました。

 
 <平安神宮エコ初詣の方法・話を詰めた人たち>

129日に京都の方たちにバトンタッチして本格的に動き始めました。
 
主催のエコトーンの太田さん・京のアジェンダ21フォーラム事務局の能村さんが、平安神宮参道管轄の川端警察交通課の福平さん、露店商組合長の山田さんと話し合いを詰めて下さいました。

  福平さんは始からとても協力的で

「想像を絶する取組ですね。お手伝いしたいです。
 実施しているとき何かあれば警察官が見回っていますから、何でも言ってくださいね。」
 
 と言ってくださり、お話し合いを上手にまとめて下さったようです。
 終わった後も「問題なく終わりましたね。敬服します。」と仰ってくださいました。





   <どこまでやるか・リサイクル型>

  参拝者に、瓶・PET・割り箸・串・トレー・燃やすごみの7品目分別、トレー2度洗いをして頂いた後、スタッフがしっかり拭くという方法になり、道具は千里リサイクルプラザ研究所から借りることになりました。

洗うということは、晴れ着を汚さないか、道路を渋滞させないかなどの心配があり、聖護院地区の方100軒位にお風呂の残り湯で洗って頂こうか、ベニヤ板のごみ箱を仕切って、分別だけにしようかなど悩みましたが、太田さんが啓発のために参拝者による2度洗いを実施すると決断下さいました。

        
  <場所と時間>

  資源分別コーナーは、神宮入り口前の両側と2条通り近くの参道に3箇所設置となりました。

 平安神宮は唯一、京都と大阪の業者が一緒に出店します。大阪がベニヤ板のごみ箱を出し、一杯になれば、公園のステーションに運びます。
 
 今年は、京都の業者さんの所だけを対象にしました。

 分別コーナーは、大晦日は
5箇所、元旦は4箇所とし、実施時間は、道路が歩行者天国となる大晦日22時から元旦5時まで、元旦10時から17時までとなりました。




     <規模>

 約100店舗のうち飲食関係は75店舗

  各店舗1日800食3が日で2500食用意

 三ヶ日の人出20万から40万人。

         
  <スタッフ集め>

 過酷ともいえる条件でスタッフが集まるかどうか心配でしたが、エコリーグのメーリングリストや京都の学生たちの大きなサークルSAGE(セージ)の方たちが参加して下さり、述べ33名となりました。

 神戸や姫路・三田・枚方・
守口市からの参加者もありました。年齢も大学1回生から50代後半の方まで幅広い層の参加でした。



 <スタッフへの説明・班に分ける>

  当日は、1時間前に2条通り脇の公園に集合し、エコトーンの高橋さん作成のポケットサイズのプログラムを配り、資源分別コーナーの見本を1つ作って回収の手順を説明した後、設置場所を見て回りました。

  13人づつ。
 場所を2時間で変わって気分転換できるようにし、散乱ごみを拾ったり水の入れ換えなどする班も
1つ作りました。
          
  <スタッフの行動>

  学生さんたちの中には、デパートのアルバイトで鍛えた咽で「明けましておめでとうございます。ごみの分別をしています。ごみの分別にご協力下さい」と大きな声で呼び込みをして下さる方もいて、てきぱきと回収箱の位置など工夫しながら作業は進みました。

  汚水は、もう一つの45Lペールにザルを通して入れ、最後に排水口に流しました。


  <資源分別コーナーの設置>

  紅白歌合戦たけなわの時間に、作業が始まりました。

あらかじめ1ヶ所づつセットしていた道具類と椅子、テーブルを設置場所に運び、趣旨説明を書いた表示を立て、45Lのペールに公衆トイレ脇の水道からホースで水を入れ、台車で運びました。4つの洗い桶に水を入れ、柄付のスポンジたわしを入れました。

 ペットボトル上半分を切って作った割り箸、串の回収箱と残渣掻き出し用ハブラシ、タオルを並べ、コーナーができました。

          
   <参拝者の反応>

  8割の方がご自分で洗って下さいました。

 割り箸や串は、案内がないと燃やすごみの方に入れる方もありました。

 飲食をせず参道を歩ている方の中にも
「ああ、こういうことを始めたのね。」
「埼玉の方でもしているよ。」
 と反応を示しながら行き過ぎる方もありました。

 懸念された「酔っ払いが絡む」などは皆無で、むしろ、この様な取組に感激して握手を求められたスタッフもいて、日本の未来は明るいと思いました。

         
  <道具類の後片付け>

  洗い桶・スポンジ・タオルを洗浄する後片付けは結構大変でした。
 元旦の朝
5時過ぎと17時の終了後の2回しました。
 このためもあり、元旦
5時から10時までの間の休憩は、あまり取れず、スタッフの一部には殆ど寝る時間が無かった人もいました。
 近くにご自宅のある方が洗濯の便宜を図って下さいました。

このようなさまざまな協力があったからこそこの試みは成功したのだと思います。



<分別者推定数と回収品の行方>

  串と割り箸で26kgと聞いています。
 
14gの割り箸換算で6500膳です。
 コップと楊枝だけの方、紙だけの方など分別コーナーに立ち寄られた方は
1万人を超えると思われます。
 割り箸は王子製紙に送ると
3膳ではがき1枚になり、透明な蓋付きOPSトレーはエフピコ福山工場へ送るとコンビニのお弁当の本体のような不透明で不発泡のソリッドと呼ばれるプラスチックになります。
 
 缶・瓶・蓋とラベルを外したペットボトルは京都大学で一時保管して頂いた後、業者回収となります。


     今後の課題・リユース型に    

  2日、3日のビデオを視ると、1人が公園の隅に置いたトレーの上に瞬く間にごみの山が出来ていきました。

  私たちがいなくてもリユース食器で業者と消費者の間で循環が成立するようなシステムにしないと抜本的な解決にはならないと思います。                                           

  そのために、業者、行政、活動団体、平安神宮の方たちが集まり、1年掛けて会議をし、来年は、さらにバージョンアップしたエコ初詣となるよう願っています。

(レポート)

千里リサイクルプラザ研究所
 市民研究員 坂東 淳子
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