■大阪府、吹田市のごみ焼却工場は大きすぎると計画を差し戻し

    吹田市で唯一のごみ焼却施設は北工場で、昭和57年に運転を開始して以来21年が経過しています。

そこで吹田市は、現行の焼却能力日量を450tを600tにアップして平成18年に建設に着手すべく、現在環境アセスメントを実施しています。

 この過程で吹田市は大阪府環境影響評価条例に基づいて、環境影響評価方法書を今年2月に提出していました。その後条例に定めるプロセスを経て、8月7日に大阪府知事意見書が吹田市に対して出されました。

 その意見書の中で大阪府は、最近(平成12年〜14年)のごみ処理量について計画値でなく実績値を使用し、かつ将来も増加が見込まれている事業系のごみのより一層の減量化を考慮してごみ量の将来推計値を見直すことを求めています。

 そのうえで、焼却工場の能力を適切に設定するように要請しています。

 ところで、吹田市が焼却工場の焼却能力を建替に当たって450tから600tに拡大した根拠は、「焼却対象実績及び推計」の図に示されています。



       (図を拡大してみるには、次のファイルをダウンロードしてください。→ グラフ )


 これによりますと、平成8年からすでにすでに適正焼却処理能力を超えているので建替に当たって600tにすべきであるというのです。

 吹田市は750tになるところを、新たな減量の努力目標もおりこんで600tに収めたと説明しています。
 このグラフは、焼却対象ごみの量が現状の減量努力程度では平成30年に600tに到達し、新規減量努力を織り込んでも平成46年に600tになる。従って、600tの能力は必要であることを示そうとしているものです。

 ところが引用したグラフは一方で、事業系の焼却対象ごみが一定のトレンドで増加し続けるという推計の、この一点が600tの能力が必要という要因になっていることを示しています。

 高度経済成長期であればいざ知らず、事業系のごみ量の増加トレンドに大きな疑問を持たない人は稀でしょう。

  また、循環型社会形成に国をあげて取り組もうとし、環境省も10年後に全国のごみ排出量を半分にすると宣言しているこの時代に、あまりに時流に逆行する計画です。

 一方、財政面からみても、150tの能力アップは、単純に建設費をトン5千万円として計算して75億円の建設費増額になります。当然毎年の維持費も高くなります。加えて、過大な焼却工場はリサイクル推進に水を差すことになる事例が各地に見られます。

 にもかかわらず、現市長は今年4月の再選を目指す選挙戦で、”私のマニフェスト”の中にごみ焼却施設の建て替えを掲げ、能力600tとしているのです。

 話はやっかいなのです。

 環境意識の高まる中、600tは過大であることに危機感を強めている吹田市民は、大阪府のこの度の見直し要請に期待を高めているのです。 ( 記 千代延 )

  
  ※ 参考HP
      吹田市北工場建替事業について
      吹田市北工場建替事業に係る環境影響評価方法書についての知事意見
      吹田市北工場建替事業に係る環境影響評価方法書についての意見の概要及び見解


大阪ごみを考える通信 03' 年版 No3より
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