■  生ごみ処理施設の事故続発!

〜 生ごみのリサイクルの実態を調査しよう 〜


 「安全管理の軽視」だけが事故の原因でしょうか?

 三重県のごみ固形燃料発電施設の事故や、イオングループの生ごみ処理機の事故など今年は生ごみのリサイクルに関連する事故が大きな問題になりました。

 事故関連記事を読むと事故の原因を「安全管理の軽視」においていますが、この捉え方では事故を防ぐには不十分な反省になります。

 メーカーでも行政でも装置を作ったり、買ったりする事典では安全を重視して、作るつもり、買うつもりになり、調べることは調べているからです。
 “軽視” しているか否かは最後にわかることですから、何が見えなかったのだろう?という視点で反省することが大切です。


 販売先行 取り残されたソフト対策

 私は、これらの事故は生ごみリサイクルのソフト技術の基本が社会に広がらないまま、装置だけが販売されるから起こると考えています。
 ペットボトル・缶・びんなどなどのリサイクルと違い、生ごみは、原料の量と質が日々大きく変動する特徴があります。
 パーティがあると、フライものの残りが多量に出たり、期限切れになったうどん類がどっと出るなど、出てくる残さの量と質が大きく変わります。
 これらが一度に堆肥化装置に投入されると、中にいる微生物は食べきれなくなったり、食べる微生物が増えるまで時間がかかるので、良い堆肥ができなくなるのです。

 今井さんと一緒に見学した大誠産業では、この問題を克服するため、大きな装置を一台置いて、その一台の装置で生ごみを一挙に処理するのでなく、小さい装置を何台も置き、そこに少量ずつ生ごみを分け、間をかけて投入して良い製品を作っていました。
 いわば、この小分け方式では、一度に投入する量は、装置の中に残っている前日までの半完成品の一割未満にするように調整しています。
 生ごみの8割は水分ですから、投入した生ごみの量 ≒ 水分の量 と見なすこともできそうです。つまり、生ごみを装置に投入するとは、
装置のなかに水をかける状態ということでもあるので、生ごみを一度に多量に投入すると装置内の温度が低下してしまい、良い堆肥ができにくくなのです。

 生ごみリサイクルには、生ごみの投入量を調整することが大切なのです。
 このように状況に応じて投入量をきめ細かく変えられる人を〈ゲストオペレーター〉といいますが、このような人を育成しないまま企業が装置を売り込んでいるのです。
 

 ■ 大阪ごみを考える会としての取り組み課題

 そこで、来年、あちこちで導入されている生ごみ処理機の実態を調査し、改善策を提案できるようになりたいと思います。
 関心のある方は、自分が住んでいる市の、家庭、学校や事業所等々に導入されている大小様々な生ごみ処理機の現状を今から把握しておいてください。           ( 記 森住 )

大阪ごみを考える通信 03' 年版 No4 より
通信目次に戻る