■ 事業系一廃収集運搬業者のISO取得奨励を     
 
〜 収集運搬の効率向上並びに経営の改革を期待して〜
  

 オフィスごみ排出実態調査  

  資源ごみ対策の立ち遅れ   不要なごみ処理経費負担の実態が明らかに

 

 私たち大阪ごみを考える会の数人のメンバーは、大規模オフィスビルのごみ分別・減量の推進に有効な施策を考えるために、まず大阪市内の大規模オフィスビルのごみ排出実態を調査することとし、1ヶ月間排出ごみを計量しました。

その結果、左図のとおりオフィスごみ、生ごみ、資源ごみの排出比率をみることができました。

調査対象のビルでは、一部の入居企業がISOを取得していることもあって、資源ごみ17%というのはそれなりのレベルですが、入居している他のテナント企業が全て本気で分別に取り組めば、オフィスごみ56%の内、少なくとも50〜60%は資源ごみに分別可能な状況にありました。


 ごみ減量化で問われている収集運搬業のあり方

 すなわち、資源ごみは現状17%が50%に大きく増加する可能性があります。
 このビルでは、長年にわたってごみ収集運搬費の負担は収集してもらうごみの量に関係なく一定額です。
 もしも、今後、資源ごみの割合が17%から30%あるいは40%へと高まることで燃焼ごみとなるオフィスごみが減少した場合、ごみの収集運搬費が従来のまま変わらず同額を保つということは考えられません。
 つまり、ごみの減量が進めば、早晩収集運搬業者の収入は減る運命にあります。

 収集運搬業者は、この減収を補うためにも、あるいは時代の流れを先取りして、資源ごみの回収分野に浸出・拡大を図る動きも見せています。他方、減収対策として収集運搬受託額のコストダウンを図り、利益の減少を食い止めようとしている業者もいます。
日本の製造業の内の優良企業が市場競争力を維持するために休むことなく継続しているコストダウンです。

 では、廃棄物の収集運搬業界にとってコストダウンに極めて有効なことは何か?
 それは、一定の地域に得意先を集中させ収集効率を上げることです。
 しかし、おおかたの場合、そうなってはいないのが実情です。
 もし、業者間で得意先を有償又は無償で交換することができる環境が整っていれば、一定の地域に得意先を集めることは可能です。


 収集運搬業の再構築のために

 その環境(条件)とは主として次の3点です。

1) 収集運搬業界が業者間で、得意先の交換、取得、あるいは譲渡の話し合いの場を提供することです。いわば市場の創設です。

2) 契約譲渡等により収集業者が変わるという申し出を受けた場合、排出者である得意先ができるだけ承諾するよう自治体が行政指導で後押しする体制を整えることです。

3) それと併せて排出者がその申し出を受け入れやすい状況をつくることです。
排出者が業者が替わることに関して最も不安に思うことは、少なくとも依然と同程度のサービスが受けられるかということです。この不安を払拭するのが収集業者がISOを取得していることです。これがすべてではありませんが、大


 収集運搬事業とISO取得

 さて、このISOの取得(認定を受ける)には、相当の時間と費用がかかりますので、自治体として何らかの奨励策を講じなければならないと思われます。
財政が極めて厳しい時に、そのような新たな施策は否定されがちでしょうが、中小零細の収集業者の強化になることは実施すべきです。そのかわり、弱者救済の主旨で存続している減免制度は廃止するのが一般市民の納得が得られると考えます。

 オフィスビルのごみに限らず、事業系一廃廃棄物全般についても、同様にして収集運搬業者の収集コストの削減ができる態勢ができれば、一般廃棄物の分別による減量、排出者の排出費負担の低減、さらなる減量の進展という好循環が生まれることが期待できます。

 さらに、事業系一般廃棄物の収集運搬業者がISOを取得することが、資源ごみの回収に進出、あるいはその事業の拡大にも有効である時代はすぐそこに来ています。
 わが国でも、自動車メーカーや電気機器メーカーが部品メーカーに対して、取引条件にISO取得を入れているのが大半です。この動きはさらに拡大して、部品メーカーが資源ごみ回収業者にまでISOの取得を要求する事例が出はじめています。

 循環型社会への適応を目指す各業界の各企業が、自らもISOのもとでの企業活動に磨きをかけると共に取引先に同じ要求を広げてきています。

 このような状況下で、ISOを取得することは事業発展の助けになります。
それのみか、中小企業においてはISOの取得が経営のあり方や管理体制の改革、また従業員の意識改革の糸口になる事例は多々あります。

 廃棄物収集業界の脱皮に大きく寄与することが期待されるISO取得を促進することに、行政、業界あげて取り組んで頂きたいと願うものです。

 事業系一般廃棄物の減量には何よりも自治体の処理手数料の関東地区なみの引き上げが最も有効といわれて久しいのですが、大阪はじめ関西一円ではまだそれが実現していませんし、自治体にとってこれからも困難な課題です。

 収集運搬業界への支援体制を

 そこで、切り口を変えて、収集運搬業者のISO取得奨励並びに排出者である得意先の交換・取得・譲渡のできる市場の創出に、収集運搬業界が旗をふり行政がそれを支援することに挑戦していただきたいと願う次第です。
なお、当会法人会員のユニクル(株)では、時代の流れを察知して、現在社をあげてISOの取得に取り組まれています。
 このことに関し、ISOの取得がなった時点で社長の入江金男氏に、当会通信用の記事をお願いすることにしています。ご期待ください。     (記 千代延明憲)

(注)本文ではISOに限定してますが、最近普及しているKESでもよいと思います。
 但し、企業が取引先条件にISOと指定している場合は、KESで代替できることはほとんどないと思われます。
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大阪ごみを考える通信 03' 年版 No4 より