市民派議員とのごみ問題学習会報告(その4)

 

 昨年7月から始まった市民派議員を中心にした「ごみ問題学習会」が1年経ちました。彼らの学習会に報告することになり、吹田市の中本議員1項の事業系一般廃棄物の処理料金を比較)、木津川市の呉羽議員2項の容器包装プラスチックの問題点と改善提案)、川西市の小西議員3項の資源化可能物(有価物)の売却に関する実態調査からみえてきたこと)がまとめて報告しました。その日に配布されたレジュメに、森住が当会報用に少し編集しなおしたものを掲載します。

なお、次号でこの学習会について、議員からの解説を掲載する予定です。

 

ごみ問題学習会〜自治体どうしの情報交換から見えてきた成果と問題                                2008.7・16 近畿市民派議員交流・学習会

 

1) 事業系一般廃棄物の処理料金を比較

◎処理手数料が自治体ごとに大きく違う。都道府県域で資源化可能物の売却相場もかなり違うことが判明。

◎減免制度により事業者へ「裏補助金」が提供され、適正な負担がなされていない事実が多数判明。

◎収集データが統一的でなく、市毎に大きく違い、事業系一般廃棄物の処理原価計算の難しさがわかる。

【事例@ 大阪府 和泉市 事業系ごみ処理料金 無料が有料に!】

 事業系一般廃棄物は、家庭系ごみと同じく市の委託業者が混合して収集。そのため、収集量の把握できず、本来、事業者が負担するはずの処理料金が無料になっていた。

小林昌子議員 H19.12議会質問。結果H20.4より、分別収集を実施。また、H20.6月議会で事業系ごみの有料化について質問。答弁では、H21.4より事業系ごみの有料化を検討。

和泉市 人口18万人。

例えば、事業系一般廃棄物が10000t排出なら14千万円の収入増。

20000tで28千万円。現在は、隠れ補助金となっている。

 

【事例A 兵庫県 川西市 産業廃棄物を規定を設けず処理!】

 川西市では、家庭系一般廃棄物と混焼すると事業系一般廃棄物と位置づけることができるス―パー等から出る発泡スチロールを別途リサイクルをしている。この場合には、法で規定するとおり産業廃棄物として位置づけ、条例で取り扱えるようにすべきところを、何も規定を設けないまま、焼却コストよりはるかに高いコストでリサイクルしていた。小西佑佳子議員H20.3条例で規定もせず産業廃棄物として処理している問題点を指摘。
持ち込みごみの処理料金 1kg当たり5円をH21.4より8円に値上げ。

事業系一般廃棄物の排出量 13,224d 年間3,967万円の収入増。

 

【事例B 京都府 長岡京市 特殊な減免制度が判明!】

 事業系一般廃棄物の処理料金は1kg当たり14円。収集運搬許可業者4社に処理費を7470%減免。ごみの排出事業者である中小零細企業を保護する政策として、許可業者がそれぞれの首長に減免の申請書を提出し、承認をもらう。一方、中小零細企業は、ごみ排出量が300kg/月以内の事業者と条例で規定、しかし、現状ごみの処理量から換算すると平均で1事業者が600sを排出しているから、保護すべき中小零細企業はいないことになる。元市議がこの矛盾を見つけ、一部事務組合(乙環)に住民訴訟と市に住民監査請求。市人口 79千人。市の年間事業系一般廃棄物 約5000t排出。

減額の影響額は乙環では8600万円、市では4800万円。

 

【事例C 大阪府 吹田市 処理手数料2.5円値上げで12000万円の収入増】

 人口35万人。事業系一般廃棄物搬入量 約5万t。H19.12議会 全市的な手数料の見直しにより、事業系一般廃棄物の処理料金を4.5円から7円に値上げする条例改正案議決。

H20.4より値上げ。(7-4.5)×48000t=12000万円収入増。

本来の処理原価 12.7円になれば、(12.7-7)×48000t=約27000万円の収入増。

 

【事例D 事例大阪府 箕面市 減免制度段階的廃止へむけ審議会答申へ】

 事業系一般廃棄物の処理手数料1kg当たり4円。減免制度により1kg当たり0.8円で処理していたが、昨年7月から1.6円に改正。

H18 廃棄物減量等推進審議会答申にて、H28に処分経費の全額を処分手数料にすることを求め、今回答申で、H21年から6年以内に減免制度廃止を求める。審議会に許可業者も委員として参画。

年間事業系一般廃棄物搬入量 約15000t。減免廃止で3.2円×1.5万t=4800万円収入増。

H28処理原価 16円 になれば、(16-0.8)×15000t=22800万円収入増。

【事例E 事例大阪府 豊中市 不法投棄が怖くて手数料を上げられない?】

 事業系一般廃棄物の処理手数料1kg当たり6円。事業系一般廃棄物搬入量 約6万t。

H17 豊中市では、収集・運搬、処分の費用区分を無くし、トータルの手数料を19/kgと改定したことにより収集・運搬費と処分費の割合を変えやすくしたが、一部事務組合である豊中市伊丹市クリーンランドが処理手数料6/kgを未だに継続しているため、H17以前と変わらず。本来の処理原価12円になれば約3億6千万円の収入増。

 

【事例F 事例大阪府 茨木市 減免制度段階的廃止へむけ協議中】

 事業系一般廃棄物の処理手数料1kg当たり6円。減免制度の廃止に向け、許可業者と協議中。昨年度までは1kg当たり3.12円→H20より1kg当たり3.6円へ。

 

2)容器包装プラスチックの問題点と改善提案                  

*木津川市で生じた問題:〜プラステック製容器包装がDランクになり引取り拒否された。〜

木津川市では、プラステック製容器包装の分別収集12年度から実施。委託業者の処理施設で、選別・圧縮梱包され、再商品化事業者により再商品化されていた。(その仕組みは、8ページの毎日新聞記事による「容器包装リサイクル法による流れ」を参考にして下さい)                    

  旧山城町で、18年度、2度にわたるDランク評価を受け、19年度の受け取りを財団法人日本容器包装リサイクル協会から19年度の受け取りを拒否された。

  ・19年度の12月補正予算に独自処理費432万円を計上→呉羽が12月議会と3月議会一般質問。

→処理先を変えた結果、処理費は3分の1になった。

 

私たちがとらえていた問題点

・マテリアルリサイクルを優先しているため、リサイクル費用が約3万円/d安くリサイクル率も40%以上優れているケミカルリサイクルがわりを食い、マテリアルリサイクル業者が落札した残りしか引き受けられない。

・ケミカルリサイクル業者は落札量の15%しか産廃処分を許されていないのにマテリアルリサイクル業者は55%を産廃として焼却してもよいことになっている。

・自治体にリサイクル手法の選択権がないため、マテリアルリサイクルされた場合、半分以上が公害対策の劣る産廃焼却炉で燃やされ、輸送にエネルギーと費用を浪費する。

 

これらの問題点を改善するため容器包装リサイクル協会へ質問状をだし、回答並びに出前講座を依頼する4月に責任者が来阪してくれた。

  これらの深刻な問題点について率直な意見交換したところ、個人的意見だが、市町村に選択権を与えることが当面の問題の改善になると思っているという思わぬ回答をいただいた。また国側も改善の意向を持ち、昨年の6月に、審議会の部会で、その趣旨の報告を出し、横浜、札幌他2市で、マテリアルかケミカルかを選択して、収集・選別する社会実験を20年度から開始することになっているということも知った、

現地視察 大栄環境 (和泉市):和泉市の発泡スチロールおよびプラスチック容器類を格安でマテリアル(材料)リサイクルしている。

     新日鉄 (東海市): 名古屋市等の容リプラをケミカルリサイクルしている。今年度約5万円/tで落札し、ソーセージ状の形に成型後、コークスにする石炭に約1%混ぜ、一緒にコークス化、すると石炭の中に含まれている微量のアンモニア成分とプラスチック中の塩化ビニール由来の塩素が化学反応して、除かれるので、容リプラ中に5%程度含まれている塩化ビニール類は予め除去する必要がなくなり、その分コストダウンできることになる

 

*これからの対策

廃棄物の排出抑制は大前提ではあるが、現実に採用できる政策提起は買い物袋有料化政策の検証と応援しかない。分別収集・処理したプラステック製容器包装のリサイクル手法を自治体に選択権が持てるようになると、リサイクル率とコストがどれくらい改善できるのかを調べ、政策提言をしていきたい。

ただ、焼却コストはケミカルリサイクルコストより安いという現実がある。ここを乗り越える論理を見つける必要がある。

そこで、

プラステック製容器包装は、どう処理するのがいいのかを検証していくために、

まず「プラステック製容器包装を分別せずに一緒に燃やすことは、助燃剤としての活用に適し、追加する燃料費を抑えられるので有効だ」とする考えを、実態調査を基に検証していきたい。

                                               

3) 資源化可能物(有価物)の売却に関する実態調査からみえてきたこと      

 資源化可能物は、行政で選別後、民間の再生業者(以下再と略)に売却するか、容リ協会ルート(以下容と略)で引き渡している。

資源ごみの種類と引き渡し相手先

ペットボトル(再/容)、プラ製容器包装(容)、発泡スチロール(再/容)

ガラスカレット(再/容)、Rびん(再)、アルミ、鉄、鉛、ステンレスなど金属(再)、紙(再/容)

見えてきた問題

再生業者と売買契約を結ぶにあたり、自治体により、契約形態が千差万別

@     契約期間は、半年〜1年

A     売却先の選択と契約の方法:一般・または指名競争入札、複数の業者に意向を尋ね「見積合わせ」したうえで1社に決める、随意契約で特定の業者と契約

B     単価の決め方(3ヶ月ごと/半年ごと/通年)

C     売却収入が明確になっておらず、本来行政財産であるにも拘らず、業者の収入になっている事例もある。

D     選別・梱包等の中間処理に関する行政の作業仕様書が不適切であるため、業者が適性に仕事をしなくても責任を問えない事例がある。