容リプラリサイクル問題(その3)

 

 今年度のNO2、7月号で「市民派議員とのごみ問題学習会」及び9月号で、木津川市会議員の呉羽さんの「複雑に絡まったごみ問題を追っている日々」で、容器包装プラスチックリサイクル問題を紹介しました。それを各々(その1)(その2)として、今回は(その3)と位置づけ、これから適宜報告することにします。

 この学習会では、市町村に材料リサイクル、ケミカルリサイクルの選択権を与えることを提案しようとして、詰めの作業を行っていますが、その中で、大変重要なことが見つかったのでそのことに絞り報告します。

 材料リサイクルがケミカルリサイクルより優先されているため、落札価格が3万円も安く、リサイクル率が85%と材料リサイクルの45%より40%も多いケミカルリサイクルに回る量が少なくなっている問題の解決を目指し、市町村に選択権を与えることを提案する予定になっています。

 その過程で、誰がこんな不合理なルールを決めたのか?が問題になったので調べていくと、決めるべき国が“逃げて”審議会と民間の容リ協会に責任を押しつけていることがわかったのです。

 「材料リサイクル優先」については、容リ協会HPに、「113月の産業構造審議会で、プラスチック原材料等としての再商品化の重要性に鑑み、プラスチック原材料等の再商品化方法を、その他の再商品化方法に比べて、一定の基準の下で優先的に取り扱うこととする」「1999年の産業構造審議会で、白色トレイのリサイクルにみられるようなプラスチックの原材料としての利用がなるべく望ましいことから、材料リサイクル手法を一定の基準の下で優先的に取り扱うこととされた」と書かれていることから「産業構造審議会」が決めたことがわかります。

 一方「材料リサイクルの率45%」については、容リ協会のHP資料「プラスチック製容器包装再生施設ガイドライン」に「材料リサイクル」をする企業は「入荷量の45%以上」を製品化するように、ケミカルによる原料化(コークス炉化学原料)をする企業は「入荷量の85%以上」を原料化するようにと書かれているから、このルールは、容リ協会が決めていることがわかります。

 この2ルールは、市町村や事業者に重大な影響を与えるから、当然法律で規定すべき性質のものです。審議会は諮問を受けて答申し、関係省庁がそれを尊重して法令を決めていく仕組みになっているのに、容リ協のHPには、「法では決めていません」とはっきり書かれています。そして、容リ協の引用では、審議会が「答申」したかどうかも不明でした。そこで、HPを検索して、容リ協が引用している1999年113月の産業構造審議会報告を探してみると、HPに公開されておらず、公開されているのは同月の審議要旨(経済産業省HP)であり、そこには「材料リサイクル優先」という記述はなく、しかも「審議要旨」ですから、何らかの「決定」をしたとは解せません。つまり、容リ協会が主張する根拠が確認できないのです。経済産業省の担当課に電話すると、古い記録は順次掲載しないようにしているから、彼らも知ることはできないと回答しました。どこかに公文書として残っていると思いますが、コンピューター依存が過ぎると、法に基づかない行政になってしまうようです。

(記 森住明弘)