大阪市のごみ行政改革に意見

 大阪市の事業系一廃問題を改革するため、市政改革本部に2月に「質問と要望書」を提出していました。その回答が4月に文書で届き、連休明けの5月10日に環境事業局の担当課と話し合いました。当会が出した質問とそれに対する回答の要旨をお伝えします。

 

(1)許可業者搬入手数料の改訂について、

 改革マニフェストによると、減免制度の是正については、「18年度早期に改訂をすべく取り組みを進める」と書かれていたが、5月段階ではまだ最終決定されていなかった。

質問:搬入手数料の改定については「18年10月頃を目途に局案をまとめる」という方針が出されているが、“局案をまとめた”後どうするか?

回答:前向きの答えはなかった。

 

(2)事業系一廃の受け入れ基準の改革について 

 質問:大阪市の事業系一廃は、分別基準が無いため、可燃系・不燃系・資源系の廃棄物が分別もされないで搬入されているが、名古屋市並の分別基準にする改革は考えているのか?

回答要旨:当局は、この件は個別の具体的施策の範疇であるからマニフェストには取り入れていないが、事業系のごみ減量施策の中で、取り上げていきたい。そして、次回協議の中で、何か回答を出す。

 

(3)告示産業廃棄物の改革について

 質問:大阪市には市内の中小企業から排出される産廃を「告示産業廃棄物」として10キロあたり58円で受け入れる制度が古くからあるが、この実態を示してほしい。また、料金改定をするつもりか?

回答要旨:告示産廃については、基準に適合している事業者の、車、社員、家族で従事している者等をあらかじめ登録させ、チェックができる態勢にしている。しかし、該当する事業者数、及び許可業者に委託して搬入されているか否か等については把握していないので、次回、これらについて実態を知らせる。

 

(4)“やみごみ”搬入の是正について

 質問:平川さんが長年取り組んでいる“やみごみ”問題の是正状況は?

回答要旨:抜き打ちのごみ展開検査を実施している(というありきたりの回答)が、その効果を量的には把握していない。次回に過去5年間の展開検査結果を資料として提示する

 

(5)街頭ごみ回収システムの改革について

 質問:05年度会報NO3「ここが可笑しい大阪市のごみ対策」で詳しく述べたが、市内の道路に設置した約5000個のごみ容器のごみを回収するため、人件費とごみ容器購入費と焼却費を合わせ、約3億2300万円(平成16年度)の税金を使い、一人あたり約900万円の給与をもらう21人の職員が、一日あたり約4時間稼働して、年間約2500トンのごみを収集(1トンあたりの回収コストは、13.4万円以上)している問題を改革するつもりはあるのか?

回答要旨:全廃するつもりはなく委託化することによってコストダウンを図るべく、マニフェスト改革の中に位置づけている。次回、検討の進展状況を知らせる。

 

(6)大阪市がごみ減量・分別排出のモデル事業所になる改革について

  質問:当会が、大阪区役所から排出されている事業系一廃の実態を調査した結果、大阪市としての減量・分別の基本方針がないため、まじめにリサイクルしているところから、殆ど対策を取っていないところまで千差万別であることがわかった。区役所だけでなく、大阪市の全局から排出される事業系一廃の分別排出計画を策定することは考えているか?

回答要旨:大阪市の区役所等も本庁にぶらさがる形でISO14000の認証を受けており、その中で紙ごみ等が減量対象となっている。ただし、ISOの主管は総務部なので、環境事業局が実態と効果は充分把握していない。そこで次回は紙ごみの排出実績等のデータを提出する。

 

 解説 ISOでは、該当市の政策に従いごみ減量をしているか否かが評価基準になっている。大阪市は事業系一廃の減量・分別の基本方針を定めていないし、マニフェスト制を導入しているわけでないから、わずかな効果でも認証される。このようなISOの実態を環境事業局職員が理解しないで行っているごみ行政を改革することが焦眉の急である。

 

(7)資源化可能物及びその他プラスチック選別業務の委託条件の改善について

 質問:大阪市は表題の2品目の選別業務を民間事業者に委託しているが、ここ数年特定の数業者が受託している。これは、競争入札か随意契約か?またその条件は?

回答要旨:どちらも指名競争入札であり随意契約でない。応札条件は文書化しているが、横浜市等のように広く広報することなく、尋ねてきた事業者に知らせるだけである。条件に合致しているか否かは「資源ごみ選別業務委託業者審査委員会」で行っている。 次回、当該審査委員会の委員名簿、委員会の要綱、チェック項目などを提示する。加えて、分別する業者との契約書を提出し、分別した後の瓶、缶、ペットボトル等の所有権が大阪市にあるのであれば、それらの売却金額を示す。

 解説 当会が最も問題にしているのが、「受託業者の資格要件の中に、一般廃棄物の中間処理業の許可を持つことが入っているか否か?」と、「委員会が受託業者の法令遵守状況をチェックしているか?」であるが、担当者は知らなかったので次回回答をもらうことになった。

(森住記)