灰溶融の実態
出発はダイオキシン対策
欧米ではすでに問題になっていたダイオキシンが、日本では、1983年11月に愛媛大学のグループがごみ焼却施設の飛灰と残渣からダイオキシンを発見と発表して大騒ぎとなる。1984年に、当時の厚生省は「廃棄物処理に係るダイオキシン専門会議」を立上げ、ようやく1990年に「都市ごみ焼却炉に対するダイオキシン類抑制のガイドライン(1次)」を全国に通知する。1997年4月には排出濃度測定値が公表され、7月に第2次ガイドラインが出される。通常国会でも活発な質疑が行われ、同年12月から大気汚染防止法、廃掃法の改正による規制が行われた。そして、1999年ダイオキシン類対策特別措置法が出来、廃ガス、排水等に対する規制が実施されていった。そして、「灰溶融固化施設の設置」を焼却施設整備に当たっての補助要件としたことで、溶融施設は全国の自治体に広がり、年間数千億円規模の市場を生み出していった。
灰溶融の種類は次のとおり
灰溶融炉の種類 |
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電気式溶融炉 |
交流アーク式 |
電極と溶融メタルの間に灰を入れ、電極に高い電圧をかけると電極と溶融メタルの間にアークが発生し、その熱で灰を溶融 |
プラズマ式 |
高い電圧をかけた筒状のプラズマトーチまたは黒鉛電極からプラスマを噴射し、その熱で灰を溶融 |
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燃料式溶融炉 |
表面溶融式(固定型) |
バナーで都市ガス、灯油などを燃やし、その熱で灰を溶融。炎の当たる表面部分から溶融 |
表面溶融式(回転型) |
バナーで都市ガス、灯油などを燃やし、その熱で灰を溶融。炉体が回転し、灰を均一に配分して溶融 |
※ スラグ放出時に温度低となる
※ 運転管理が難しい
しかし、稼働後は・・・
灰溶融炉導入が全国的に進んでうまく稼働している施設がある一方で
、近々の例では、以下のようなトラブルが報告されている。
@
2006年4月29日に起きた高知市清掃工場(高知市長浜、三本博三工場長)の灰溶融炉(三菱重工製)2号炉からドロドロに溶けた高温(1300度)のスラグ(ガラス質)が炉底の耐熱レンガを溶かして流出
A
尼崎第2クリーンセンター コスト高で、運転日数大幅減(炉の運転を停止しなければならない故障がたびたび起こる)
B
静岡市の沼上清掃工場の爆発事故 2004年7月9日に発生
C
愛知県東海市の灰溶融炉爆発事故 2002年1月に発生
D
人口10万人の兵庫県高砂市のガス化溶融炉を2003年に稼動開始。早々に電気系統やベアリングの異常が発生し、溶融炉周辺の作業区域に高濃度のダイオキシンが漏れる
E
京都市 2002年に溶融炉のレンガが破損し溶融物が流れ出すという事故を起こす
F
京都市焼却灰溶融施設、本格稼働は延期へ。排水から基準の15〜42倍のダイオキシン類が検出されるなどのトラブルが発覚!
まとめると
・稼働後、炉内の耐火レンガが損傷する致命的な事故が起こる
・公害対策のはずが、異常なダイオキシンの検出、CO2増加
・ランニングコストの高騰
・スラグ売却が難しい
等々の声が全国的に沸き起こり、環境省は2008年にようやく実態把握に動き出す。
そして、ついに通知が・・・
2010年3月19日付で環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長から、各都道府県知事宛てに出された「環境省所管の補助金等に係る財産処分承認基準の運用(焼却施設に附帯されている灰溶融固化設備の財産処分)について」という通知が出される。通知の背景として、@ダイオキシン対策の推進に伴う排出削減効果の発現(飛灰及び焼却灰のダイオキシン濃度の著しい低下)により溶融固化処理の必然性が低下していること。A3Rの推進により最終処分場の残余年数が増加していること。B灰溶融固化設備の廃止による燃料の削減で温室効果ガスの削減へ寄与すること。の3点が示されている。
大阪府下では
昨年度途中までは以下の5施設で稼働していたが、内2施設は停止し、廃止の方向で動いている。
市町村・一部事務組合名 |
施設名 |
着工及び 竣工年月日 |
現在の状況 |
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吹田市 |
資源循環エネルギーセンター |
H17.2.28
H22.3.25 |
稼働中 主目的は、最終処分場の延命、飛灰の無害化 府下で、唯一、スラグを売却 |
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枚方市 |
東 部 清掃工場 |
H16.6.17 H20.12.10 |
稼働中 主目的は、最終処分場の延命、飛灰の無害化 |
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泉北環境整備施設組合 |
泉北クリーンセンター 1号炉 2号炉 |
H11.8.3
H15.3.25 |
停止中 H23年度中に廃止予定 理由:コスト高、CO2増加、スラグ売却難 |
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岸和田市貝塚市清掃施設組合 |
岸貝クリーンセンター 1〜3号炉 |
H15.8
H19.3.31 |
稼働中 主目的は、最終処分場の延命、飛灰の無害化 |
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南河内環境事業組合 |
第2清掃 工場 |
H9.8.28 H12.3.31 |
灰溶融設備廃止(H23.1.7) 理由:コスト高、CO2増加、スラグ売却難 |
実態を見に行く
全国的に約70施設が設置していたが、どんどん運転停止が増え、さきの3月19日通知以降廃止の方向が主流と言って過言ではない。この主な理由は、@国の技術的援助・指導がない(場当り的対応に終始)A技術的に未完だったとの評価もある、がある。市民としては、現行焼却施設の管理の徹底、焼却灰の管理の徹底、焼却灰の安全・安定した再利用を強く求めていく必要がある。
そこで、実態を見学しに行き、その方向性を探っていくことにします。 (記 山下 宗一)